さおだけ屋はなぜつぶれないのか―山田真哉

私のブームは遅れてやってくる。
すごい話題になっているよ、というときには手を出さない。
職業柄、致命的な欠陥ではないかと思うときもあるが、気にしない、気にしない。

この本の趣旨は、難しい理屈や用語なしに、会計学の基本を学ぼうと言うことだ。
会計というと、財務諸表やら貸借表、キャッシュフロー、経常利益や純利益など、なんとなくわかるような気がしても意味を聞かれると「はて?」となる言葉が多い。
企業の中枢に関わるならなおのこと、普通の社員でもこれらの言葉については普段から耳にし、知っておきたいというものだ。
だが、今までに出ている本は専門用語の羅列で、大学で経済学でも学んでいなければ難しい、だからこの本の出番があるのだ、というポリシーである。

まず、タイトルが素晴らしい。
これは、編集者のセンスであろう。
著者の山田氏が、編集者にインスパイアを与えたということもあるかもしれない。
いずれにしろ、タイトルがいいのだ。
このタイトルのおかげで、部数のほとんどを稼いだと言っても過言ではない。
(すいません)
これが、「もっともやさしい会計学の本」みたいなノリだったら、部数は10分の1もいかなかったのではないだろうか。

「さおだけ屋はなぜつぶれないのか」―そうそう、いつも外に走ってるけど、自分では買ったことないし、誰かが買っているような感じでもない。
じゃ、なんで商売が成り立っているんだろう?
そういう素朴な疑問から、会計学をひもとく。
財務や営業、会社の中枢に関わるなら、ここから会計学の基礎を学ぶのも悪くない。

じゃ、そういう人手なければこの本は役に立たないのか?
と聞かれればそんなことはない。
誰でも社会に生きる限りは、あ~なるほどと思う部分がきっとある。
多くは損得勘定にあたる部分でも、そこはやはり会計学の基礎である。
個人ベースで見た場合にも、役立つエピソードはきっとあるのだ。
その一つは、「50人に一人は無料」となるキャンペーンの秘密。
これが損か得か、どう思いますか?

個人的には、いかに売り上げを上げるかという視点で、自分のとっている戦略が果たして正しいのかよくないのか、非常に興味があった。
そういう疑問にも、一定の解を示してくれているので、興味深い。
700円という本だが、子供にも読ませようと、そのへんに放置してある。
金銭的なセンスをくみ取ってくれればいいのだが。

ところで、この本は100万部以上を売り上げているそうだ。
とすると、印税が普通なら6000万円以上は収入になっていることになっている。
知人で著者を知っている人にいわせれば、著者は高ビーでイヤな奴ということだが、私が本を読んで思った通りの人でないことを祈るばかりだ。

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