ムラサキツバメとムラサキシジミ

神奈川県大和市泉の森にて。紅葉の写真を撮っていたところ、近くにいた写真家の人が話しかけてくれた。指示通り上を見上げると、山桑の葉に茶色いものがびしっとくっついている。これはなんだということだが、ムラサキツバメというシジミチョウの一種が寄り添って越冬しているのだと言うことだった。

Murasakitsubame_01 やっぱりわかりにくいですね。

私のような素人には、これがムラサキツバメの越冬風景とは、とても判別できない。言われてみれば、上の方にいるチョウから突起が見えることから、ムラサキシジミではなくムラサキツバメではないの?とかわかるのだが、いきなりこれを見て、あ、ムラサキツバメですね、というようにはならないだろう。

大和市の関係者ではないかと思われるその方は、親切にいろいろ説明してくれた(息子がカメラを持ち同行していたこともあったのだが)。この蝶は元々南方種で、関西以西にいるのが普通なのだが、温暖化の影響で北上しているそうだ。基本的に常緑樹の葉で越冬することがほとんどだが、今回のように落葉樹の葉に付いてしまうこともあるようで、葉が落ちれば蝶は飛び、新たな越冬先を探すしかないのだが、それが気温の低い夜間なら動きもままならず、死んでしまうだろうと言うことを心配されていた。周囲を見れば、針葉樹が多く広葉常緑樹はあまり見かけず、どこで冬を越すのかと不思議がってもおられた。

すると、足下に一匹の蝶が舞い降りてきた。

Murasakishijimi_02

これはムラサキシジミで、このへんでもごく普通に見られる種類である。羽がぼろぼろでだいぶ弱っている。ムラサキシジミとムラサキツバメの違いは、後翅のとっくに見られるものが多い。この寒い季節に、こんな色の蝶がいるなどとは、ふつうは想像つかないだろう。だが、実際には気づかないところにひっそりと生息しているのだ。

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