ギンナンはなぜ臭い?

すっきりと晴れわたった日曜、久しぶりに東丹沢に赴いた。場所は神奈川県立七沢森林公園など。公園の「沢のさんぽ道」と言われる川沿いの遊歩道脇には大きなイチョウの木がある。木の麓には石祠がひとつ。扉には太陽と月を象ったと思われる穴が空いている。どういう神様なのだろうと想像するのも楽しい。

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さて、イチョウの木のあたりはすごく臭う。これはもちろん、木から落ちてきたイチョウの実、すなわちギンナンの臭いである。我々が茶碗蒸しなどに入れたり、串に刺して焼いて食べたりするギンナンは種の胚乳の部分である。種には殻があり、その外側を「外皮種」と呼ばれる柔らかい部分が覆っている。あの臭いは、この外皮種の中身が空気にさらされて発せられるらしい。

この臭いの元は何なのだろうと調べてみたら、実に含まれる低級脂肪酸の一種の酪酸などが正体らしい。ちなみに、足の裏の臭いと同じとのことで、思わずにおってしまった人もいるのではないだろうか?

それにしても、何でこのような臭いが必要なのか?と思った。本来、種というのは実ごと鳥などに食べられて、どこか遠くで排泄されてそこで繁殖する、といったものと思っていた。だがイチョウの場合、食べられたくないというのが本音らしい。ほとんどの動物は手も付けないらしいが、これに手を付けるのが人間である。イチョウというのは生きた化石と呼ばれるほど古い種らしいが、葉が紅くならず黄色くなる仕組みといい、どこか他の植物と振る舞いが違うようだ。

ちなみに、美味しいギンナンであるが、食べ過ぎにはご注意。胚乳の部分にはギンコール酸というアレルギー物質が含まれているとかで、子供などが食べると非常に危険だそうだ。大人でも、1日4粒~5粒ほどが適量らしい。焼いて食べると美味しいのでついつい食べ過ぎてしまいそうだが、ご用心、ご用心である。

コメント

  1. 野の花 より:

    ギンナン・・・やっぱりそうなのですね(笑)。以前、ギンナン拾いをした友人が「ギンナンってウ○チくさいものなんだよ」となおさんの書かれている事と同じ説明をしてくれました。ボテッとしたギンナンを洗って乾かすと、初めて私たちの知っている堅い殻に包まれたギンナンが現れるのだとか。ギンナン拾いは楽しそう・・・と思っていましたが、やはり遠慮しておきます(笑)。

  2. なおさん より:

    野の花さん、
    ギンナン農家は、あの実を洗濯機に入れて洗うことで、種だけを取り出すそうです。とても、人の手ではやってられないということなのでしょうね。
    東京の神宮外苑にあるイチョウ並木は、風光明媚なスポットではありますが、同時にイチョウの実を拾えるところでもあります。
    やはり、あの風景とあの臭いのギャップに悩む人もいるみたいです。