【つぶやき】時代は変わるのに

去年のお話なのですが、私の入居しているコンドミニアム(あえてマンションとは言わない)のエントランスに、NHK(日本放送協会)の集金人と称する人が訪ねてきました。要は、こちらに衛星放送の受信設備があるはずだから、受信料を払ってくださいという主旨でした。しばらくの押し問答の末、特に話を進展させることなく引き取っていただいたのですが、何か釈然としないものが残りました。それは、受信設備があるなら受信料を払わなくてはならない、という点です。

NHK受信料の窓口-よくいただく質問

この話を義父にしましたら、「法律だから払わなくてはならないよ」とのこと。私も放送法の存在は知っていましたから、やはりそうなのかと納得しかけましたが、それでも釈然としません。そこで、ちょっと調べてみましたら、同じような疑問を抱えている人がたくさんいらっしゃるようで、疑問はすぐに解けました。

結論から言いますと、「支払う義務はない」です。いや、正確に言いますと、「契約する義務はない」です。受信料を払わなくてはならないのは、受信契約を結んだ場合です。

で、この受信契約ですが、受信装置を設置した者が、(ここが重要です)受信を目的としている場合になされなければならない、とあります(正確には、「放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であって、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものを言う。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。」)。ということは、視る意思がない(=受信しない)のであれば、契約の必要はないのです。契約がなければ、受信料の支払い義務もない、そんな理屈です。

放送法は古い法律であり、2010年まで細かな改正が積み重ねられてきていますが、現在のような状況が想定されていたでしょうか?携帯電話、カーナビ、パソコンだってテレビが視聴できます。NHKでは、冒頭のリンクにある自らのQAの中で、これらの機器でも受信契約が必要と表明しています(ただし、すでに固定テレビで契約していれば、別の契約は不要です)。

しかし、もともとテレビの必要性がなくテレビを持たない選択肢をとった人が、テレビ視聴可能な携帯電話を入手したということで契約が必要とあれば、契約の自由が侵害されているのではないかと感じざるを得ません。

そして、放送の意味ですが、「直接受信されることを目的とする無線通信の送信」とありますから、無線で受信しない、たとえばケーブルテレビの場合はどうなるのか、という話もあります。実にこのへんが曖昧な気がしていて、スッキリしないのです。

長々と書いてきましたが、言いたいのは実はこんなことではありません。このNHKのお話もそうなのですが、優先席周りの携帯電話の使用に関する車内放送、あれもずれてきていると思いませんか?車内と言えば携帯電話という時代ならいいのですが、スマートフォンが台頭してきだしている時代では、あの車内放送のとおりだと、実に不便だと思いませんか?

スマートフォンでは、電話やメールの他に、Webも使えます。まぁ携帯電話だってWebくらい見えるよ、ということとは思いますが、ゲームをしたり、音楽を聴いたり、動画を見たりするのも普通です。高機能な携帯電話なら、これらのこともできますが、しかしやっぱり、あのマナー放送は携帯電話が通話中心のときのものを引きずったままである、そんな感じがします。

そもそも何のために?という本質が失われて、表面的なことだけが取り沙汰されるというのは、非常に不毛と思います。時代は刻々と変わっていきますから、実情にあったルールや法制度に変えていくような柔軟さが欲しいなぁ、と感じました。

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