消費税の価格転嫁問題について思うこと。

消費税率が8%に上がるかの判断がほぼ1月後に控えるようになって、にわかに消費税アップの影響についての報道が多くなってきました。9/12朝のNHKでは、消費税アップ分の価格転嫁への困難さが報道されていました。

消費税は税金なので、そもそも価格に転嫁する類のものではないのですが、消費税を課す商取引では、本来の価格(本体価格)に税率に応じた消費税を上乗せして請求し、請求された側はそれを支払います。

受け取った消費税は納入しなければなりませんから、購入に充てることはできません。よって、消費税率が上がれば、購入コストが増加する、ということになります。これが、末端の販売店まで繰り返されます。

小売り価格の表示に総額表示を義務付けたため、末端消費者は果たして自分が購入する者の税額を直感的にはわからないようになっています。税負担の感覚を薄めようとする方策なのでしょうが、給与所得者の天引きと一緒で、納税感覚が薄れます。

つまり、税金を払っているという感覚はなく、単に金額の大小だけが気になるようになります。

同じ総額100円なら、消費税率が高くなると手取り分が減ります。ですから、手取りを維持したければ、総額を上げなければなりません。すると103円とかということになり、消費者から見れば値上げになった、となります。

出版業界に身を置くのでわかるのですが、単行本はその性格上市場に長期にわたって流通することから、「本体価格+税」という表示が認められてきました。そのため、購入者は表示された金額にいくら税金がかかるか把握し、総額をイメージする必要があります。

私は、この方式でよいと思うのですよ。確かに、購入する側からすれば面倒、表示された金額以外にお金を取られるのはイヤ、というのはわかります。しかし、末端価格を維持するために、中間が税金アップ分を負担するというのでは、明らかに景況感から見れば悪影響です。

税金が上がっても、それが感覚としてわからないようにしろという乱暴なことを財務省は述べているようですが、とんでもないですね。

我々消費者も、立場が変われば生産者であり販売者でもあるので、何が正しい姿か、考える必要がありますね。

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