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特定電子メール法

迷惑メールの送信を罰する改正「特定電子メール法」が、今日、参議院本会議で可決されたそうな。この法律は、たとえば出会いサイトへの勧誘が目的なのに、それを隠していた場合にいきなり罰金を適用できるものらしいが、これが迷惑メール送信抑止にどれだけの効果があるのだろうか?

今回の改正の骨子を、私なら以下のように理解した。

  1. 架空のメールアドレスに送ったら罰則。
  2. 送信者情報を偽ったら罰則。
  3. 迷惑メールの受信者とそれに関わったプロバイダは、当局に沙汰を要求することができる。
  4. プロバイダが迷惑だと思ったらその発信者からのメールの扱いを拒否できる。
  5. 登録送信適正化機関なるものの設置など。

よくある勧誘メールは、2に該当するものがほとんどだろう。適当なアドレスを発信元として送信しても、電子メールのメカニズムではまったく問題がないのである。それを利用して、発信元をわからなくしているばかりか、返信しても意味がなく(返信はしないだろうが)、フィルタ系の迷惑メール防止機能をスルーしている。

今回、適用範囲が拡がったことで、罰則を与えることのできるパターンが拡がったが、果たして有効に働くかは疑問である。相手が特定できれば、行政処分なしにいきなり罰則とできる今回の改正は有用である。だが、相手が特定できないから問題なのである。

たとえば、よくあるパターンで「jdfhgkjhdsfjkghdkf@yahoo.co.jp」とかいうアドレスからメールが送られてくることがある。このとき、このアドレスは当然ランダムで作られる架空のものであるし、アカウントとしては存在していない。だから、今回の法律には引っかかるが、どうやって相手を特定するのか。

こういったメールの多くは、ヘッダを見ればわかるが自前のSMTPエンジンを使って送信していることが多い。プロバイダのログに残らない場合、相手を絞り込んでいくのは非常に難しいと言えよう。ただしメールを最後に受信したSMTPサーバが、そのログを元に発信者のIPアドレスを突き詰めて、そのIPアドレスの使用者から絞り込んでいくことは、理論的には可能と思われる。

この手のメールには毎日不毛な時間を割かされているので、何とかうまく抑え込む技術、法制度が欲しいところだ。という意味で、今回の法改正がどれほどの抑止力になるか毎日見守りたい(ところで海外からのものと思われる場合にはどうしようもないのだろう?)。

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