アダルトサイト専用TLD（Top Level Domain）である.xxxに、物言いが付いたようだな。せっかく6月に、ICANNが承認して、ようやくといったところだったのにな。わかりやすくなっていいんじゃないの？とか簡単に考えていたが、そんな軽いモンじゃないみたいだな。果たして何が悪いのか？ICANNも微妙な立場だな。
最初に、TLDについて簡単に説明を。TLDとは、その名のとおり、おおもとのドメイン名のことだ。.com, .net, .orgなんてのはTLDである。そうそう、我が国の.jpもTLDだ。ただし、国を表すTLDは、ccTLD（country code TLD）として区別されている。このほか、最近見かける.bizやなんかはgTLD（general TLD）と呼ばれる。単にTLDと言ったら、それは.comなどの伝統的なものを指して、あとはgTLDとccTLDに分けられると思っていればいいだろう。
今回やり玉に挙がっている.xxxは、gTLDである。gTLDは、ビジネス向けの.bizといったように、目的別にいくつかの種類が存在する。.xxxなら、アダルトサイト向けというわけだ。TLDの管理はICANNと呼ばれる組織が行っている。本来中立であるべきの組織だが、その運営には様々な利害が絡んで中立とは言えなくなっているようだ。
さて、.xxxが承認され運用に移されるとどうなるか。中には、.xxxドメインでアダルトサイトの運営を始めたりするところが出てくるだろう。利用者側から見れば、こういったサイトのドメインが必ず.xxxとなるから、フィルタリングソフトで遮断しやすくなる。現状では、.com, .netなど何でもありなので、フィルタリングは事実上個別のドメインに対して行うしかなく、その管理は大変であった。子供に見せたくないサイトを遮断する際に、できるだけ簡単に確実に行えた方がいいに決まっている。
しかし実際には、現在あるアダルトサイトを.xxxへ強制移動する規則がないことや、世界規模の赤線地帯（赤線という表現もすごいぞ）が誕生することを危惧して、各国から圧力がかかっているようだ。
個人的には、.bizをはじめ.travel, .jobsなど、ドメインと用途を関係づけるような方向性にそもそも恣意的なものがあったと感じるのだが、それならそれで.xxxは存在し得るのではないかと考えるのだ。しかし、性的なものをけしからんと考える人たちが、.xxxを一種の特区のように思ってしまうのも無理ないであろう。
基本的には、サイトの性格から、あなたはこのTLDというように、強制されるのはよくない。ドメインの選択は、あくまでもサイトの運営者の自由に任されるべきだ。.xxxドメインはあってもよいが、そこに強制移住させられるのは間違っていると考える。仮に強制移住させられるにしても、そのサイトの選択は誰が行うのか？バリバリの成人向けサイトもあるだろうし、ソフトなヌード写真だけを掲示しているようなサイトもあるだろう。性的なものはすべて.xxxだ！ということになれば、playboy.comもplayboy.xxxとなってしまうのだろう。
ICANNは、どうするか？米国時間で16日も、じきに終わる。