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イチゴの食べ方

イチゴの美味しい季節になってきました。大きいの、小さいの、いろいろお店に並んでいますが、果たしてこのイチゴ、どのように食べるのが正しいのでしょう?

イチゴの食べ方には、主に以下に挙げる方法があるかと思います(仰々しい)。

  1. そのままかぶりつく。
  2. ケーキとかお菓子に入れる。
  3. ミキサーで生ジュースにする。
  4. 煮込んでジャムにする。

ほかにも、「大福に入れる」「炊き込みご飯にする」「みそ汁の具にする」とかいろいろあるかと思いますが、忘れてならないのは、「牛乳に入れてすりつぶして食べる」です。つくりかたは簡単、ガラスの容器などにイチゴを入れ、スプーンの腹を使い、イチゴをすりつぶします。全部まんべんなく潰したら、牛乳を注ぎ、お好みで砂糖を入れます。これでできあがり。

あまり見てくれはよくありませんな。

さて、この食べ方には賛否両論あります。せっかくのイチゴのさわやかさが、牛乳の油っぽさでだいなし、なぜ砂糖を入れて甘くしてさわやかな酸味をだいなしにするのか、利休も怒っている、山岡も怒っている、そんな感じです。しかしこれは、イチゴのおいしさを何回も味わうための工夫なのです。

まずすりつぶすとき。普通のスプーンでは、うまく当てないとイチゴが逃げてしまう。マッシュポテトを作る、腹のへこんだものを使ってもよいが、ここは、イチゴが逃げるのを微妙なバランスで防ぎつつ、しっかりと潰していく道を選択したいものです。こうして潰していく行為が、個々のイチゴの特性をしっかりと見極め、愛着へと移行させるツールとなっているのです。形や大きさを見極めつつ、スプーンを当てる場所、力のいれ具合、そういうものを見積もっていくのです。

潰したら、あふれている果汁をスプーンで少しすくい、味わってみましょう。そのまま食べるのとは違った、濃厚なうま味が口の中一杯に拡がるでしょう。果肉がない状態のイチゴ、これほどの味わいを出すものなのです。それを、改めて実感することでしょう。

次は、そこに牛乳を注ぎます。白い牛乳が、見る間にピンク色に染まっていきます。何という艶めかしさでしょう。色白き女性が、徐々に朱に染まっていくような感じでしょうか。このとき、イチゴは自らの身を牛乳に委ねるのです。さきほど潰したイチゴの実は、牛乳にまみれています。これをスプーンですくって、味わいましょう。イチゴの果実に油分のまみれた感覚、それをずるずると味わうのです。イチゴは、ミルクに合う、それを実感することでしょう。

食べ終わったら、残るのはイチゴの果汁が行き渡った、牛乳です。これを、最後に飲みほします。これは何と、イチゴミルクではないですか!よりイチゴミルクらしくするために、砂糖でも入れてみましょう。甘く、それでも香るイチゴ、濃厚なミルク、それらが相まって、実に味わい深いものです。最後の一滴まで、飲みほしましょう。

どうでしょうか。汚い、みみっちい、潔くない、いろいろいわれようが、イチゴを潰して牛乳を入れる食べ方には、いろいろな楽しみ、味わいがあるのです。もうひとつ加えれば、写真のように、潰さないイチゴも残していくのも手です。最後に、丸のままのイチゴを味わい、本来の味を楽しむのもよいでしょう。

ビタミンCも豊富な可愛らしいイチゴを、今宵も味わうとしましょうか。

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