またも痛ましい事件が起きる。子供に睡眠薬を飲ませて絞殺してしまうという何とも言いようのない事件だが、その動機がとんでもない。「世の中の仕組みがイヤになった。」「こんな世の中に子供を生かしておくのは可哀相だ。」何を言っているのか!である。それはこのオヤジが思っているだけのことで、もしかしたら家族のほかはそうは思っていないのかも知れないのである。自分の思い込みで他人に手をかける浅はかさがまずひとつ。
そして、子供はたとえ未成年といえども親の所有物ではないのである。成年までは子の行動に責任を持つ必要があるが、だからといって所有しているわけではない。れっきとした個人であるので、その将来を強制できたりするものではない。子供を自分の所有物と思っている勘違いがもうひとつ。
そして最後、「元気が出る薬」とウソをついて睡眠薬を飲ませたことがもっとも許せない行為である。
考える。十代になっている子供達の人生っていったい何だったのか、と。もしかしたら受験もしたかも知れないし、クラブ活動に精を出していたかも知れない。将来の夢もあっただろうに、そういったものをすべて灰燼に帰するような行いは、絶対に許されない。あえて言うなら、そこまでの厭世観があるなら、まずは自分の命を絶てと言いたい。残った人間は生きていける、少なくとも選択の余地がある。
私は、少なくとも自分を生かしておいてくれた家族に感謝している。もし、「この先苦労したら可哀相だ。」とかで手にかけられていたら、恨むだろう(この世にいなければ恨めないが)。いろいろあったが、結果オーライで今の自分がある。将来そういった感謝も受けられないこのオヤジには、この先どういう人生があるのか。