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土用の丑の日

夏場に来る土用の丑の日には、なぜか鰻を食べるものとなっているそうです。夏場の、とわざわざ書いたのは、春にも秋にも冬にも土用があるからで、土用の中に丑の日がくることはもちろんあります。それでも今頃の土用の丑の日だけがクローズアップされるのは、やはり鰻(うなぎ)との結びつきでしょうね。あまりイベントのないこの季節では、「何とか商戦」の欲しい小売店には願ってもない素材です。

そもそも丑の日に食べるのは「う」ではじまる食べ物なら何でもいいようで、「うるめいわし」「うめぼし」「うり」「うま」などがすぐに思い浮かびます。それでなぜ鰻だけが、といったことになるのですが、これには平賀源内が絡んでいるというのが定説のようで、鰻屋からこの季節に売れない鰻の売り方を相談されたら、丑の日に絡めてしまえということで、今に続いているそうです。

鰻自体は栄養に富み、ビタミンB系列が豊富なので、食べて悪いものじゃありません。ただ脂がきついので、脂をほどよく抜く調理法、すなわち蒲焼きが最適ということになります。

振りが長かったのですが、今年の7月の鰻の消費量は、例年の1割から2割とかで、これにはご存じの通り中国産鰻に発ガン性のある消毒剤が使用されていたという米国での報告にあるわけですが、かなり極端な気がしますね。過半数の鰻が中国産ということですから、かなりの量の鰻が「食べると危険」ということになるわけですから。それでも、客観的に安全性を証明することは難しいし、安全といわれた途端に一部の店舗で消毒剤が検出されたりと、疑心暗鬼にならざるを得ない状況が続いているわけです。では、中国産を取っ払って国産だけにするということは可能なんでしょうか?

現在、スーパーの店先に並んでいるのを見ると、「鹿児島産」などの「国産と思われる」鰻が幅を利かせていますが、そもそも「国産」の定義とは何なんでしょう?加工食品では、「産地」ではなく「加工地」を以て原産地表示する、などという詐欺にも等しい表示方法が認められているせいか、たとえば中国産の鰻を鹿児島に運び、そこのいけすでしばらく泳がせて加工したら、「国産」なんでしょうか?

某スーパーの広告には、産地の方の名前が顔写真付きで出ていますが、これは信用できるものなのでしょうか?もちろん中には真面目にやっている方もいるでしょうからすべてをひとくくりにするのはよくないことなんですが、稚魚からきちんと育てた鰻をスーパーかなんかで1000円くらいで売ることは可能なんでしょうか?

疑問ばかりになってしまいますが、こういうことを考えていれば、「鰻はやめとこう」という気持ちになっても仕方ないです。関連する業者の方には申し訳ないですが、かといって曖昧なまま安全宣言をされても困るし、そうなったらさらに鰻離れが進むでしょう。でも考えようによっては、「鰻を食べ過ぎ」という状況を見直すいい機会になるのでは、とも思います。最近はマグロでも美味しいものが安く食べられるようになりましたが、それがマグロのありがたさを下げているのも事実。希少なもの、滅多に食べられないものはそういうものとして、その季節にしかるべき行動を取ってようやく食べられる、そういうのでもいいんじゃないでしょうか?(じゃお前は食うな!とか言われそうですが。笑)

結局、最大の被害者は、食べられずに廃棄される鰻ということになるんでしょうか?いや、もしかしたら回り回ってどこに混じり込んでくるかわかりません。加工の度合いが進むほど、材料の産地なんて曖昧になります。冷凍のひつまぶしに入っているなんてことは、公然の秘密、ということになっているのかも知れません。いや、どこかのファーストフードショップで、「うなぎバーガー」などという「ミ○ター味○子」に出てきそうなメニューが、突然登場するかも知れません。げに恐ろしきは食品業界、って今さらでしょうか?

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