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生命のゆりかご

タイトルは仰々しいが、中身は至ってシンプルである。ちょっとした散歩で、カマキリの卵を見つけた。この冬の季節、多くの昆虫は卵で越冬するが、その卵を見ることなどほとんどないはずなのである。蝶の類は葉に卵を産み付けることもあるが、それでも単体で生むことが多いような気がする。ほかは、地面の中、木の幹の中など、目立たないところに産卵する。そういうところからすると、このカマキリの卵は目立つばかりか、その大きさも半端ではない。そういう意味では、かなり異色である。

オオカマキリの卵。

この卵は、固い殻で覆われているため、鳥などが食べてしまうことはない。そういう意味では要塞のようなものなのだが、この中には相当数の卵が入っている。春になればここからわらわらと幼虫が湧いて出るのだが、このすべてが成虫になるわけではないのはよく知られている話だ。生存競争に勝ったものだけが生き残ると聞けば、他の捕食者から逃れて育ったものだけが残る、といった印象だろう。

だが実際には、仲間同士で食い合うことは必至である。魚、クモ、そういった「大量に生まれる」類の生き物では、敵は他の生物だけではなく、身内も含まれる。生まれたての子供にとって、同じく生まれたての子供はこれ以上ない獲物なのである。だから、生存競争とは、仲間同士の戦いから勝ち残り、かつ捕食者からも逃れた最強のものを生み出すというものなのである。

真の敵は身内にあり、とはよく言ったものだ。これで、子孫を残すにふさわしい子供が選別されるというわけだ。実に厳しい世界である。

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