LAST 19DAY、と銘打っている「ナスカ展」に招待券をいただいたので息子とともに行ってきた。東京上野にある国立科学博物館の特別展示である。「アンコール」とあるとおり、過去に開催されて好評だったものの再展示だ。短期間での展示でもあり、人出は予想されたが、まさかこれほどとは…。
上野駅を降り立ち、博物館へ向かう我々の目にとまったのは、入り口正面に並ぶ列である。係員が、メガホンでがなっている。息子曰く、「入るのに並んでいるのかな?」私曰く、「はは、まさか…。」と思ったが、それは甘く、息子が正しかった。並んでいるのである。係員曰く、「安全確保のために入場制限を行っております。」ヲイヲイ、まじかよ?しかし、絶対に見たいという息子のために列に並ぶことにする。列の最高尾はどこにあるのだ?看板に、「待ち時間30分とある。」ここはネズミの国か?と思いつつ最高尾に、何とかたどり着く。いつになったら入れるのか、少し暗くなりながら、息子に手袋をさせる。近くで、「このバカ、並んでおけと言ったろう?」という母親の怒号が聞こえる。なんだか殺伐としてきたが、果たしてどうなるのか?
順番は、意外と早く回ってきた。招待券を持っているので、そのまま中に入ろうとするが、またもや関門があった。建物に入るのに、またもや三重くらいの列ができている…。そう、入場制限は、この列の並ぶのを制限していたのだ。恐るべし、ナスカ展。こんなにナスカ文明に興味のある人がいるのも驚きであった。
ちなみに、特別展では撮影は禁止ということで、これ以降の写真はないのだ。列に並ぶことしばらく、ようやく中に入ることができた。最近は、混雑はしょうがないというのはありえなくて、明石の事件も教訓に、混雑は主催者側でコントロールすることになっている。めちゃくちゃな状況で見学も何もないので、こういう方が喜ばしいのだが、これでも考えは甘かった。
会場に入れば、まさに人、人、人である。展示物を見に来たのか、人を見に来たのかわからない。それほどの人で、展示物に近寄るのも大変である。解説を聞くための機器を優良で貸し出してくれるのだが、そのためのヘッドセットをした人は解説が終わるまでその場を離れないせいか、人がまったく動かないときもある。通常の展示では、人はそこそこ流れるのだが、この遅滞ぶりは少々異様でもあった。それでも、人の少なめな展示物にちょこちょこと近寄り見学してはその場を離れと、ゲリラ的に見学は進むのであった。
展示の多くは、遺跡からの出土品である。土器が中心で、そこに描かれている絵柄が重要なのであった。当時の宗教観がよくわかる展示物は、貴重なのが頷ける。これは撮影禁止でもやむなしだろうと。
締めくくりは、地上絵を航空機で撮影した画像を処理し、臨場感を増した15分ほどのムービーである。実際に航空機から眺めているかのような振動感、躍動感は、間違えば気分でも悪くしてしまいそうなものなのだが、主立った地上絵、ハチドリ、クモ、サル、コンドル、デルタ、フクロウ男など、上空からバッチリ眺めさせてくれるが、ハチドリなどは地面まで限りなく近づいたような映像も見せてくれる。地上絵は、諸説あるが今で有力なのは、宗教儀式で使われたというもので、一筋で書けるという点(その上を歩けば一周できる)もそれを補強する。地上絵を書くための技法も確立している。理屈がわかってしまうのはつまらなくもあるが、それでもそのようなことを当時にやろうとしたことは感嘆する。
あまりの内容の濃さに、出てくればぐったりという感じだが、見る価値は十分にあるだろう。来週で終わりという短い展示だが、最終日の混雑を考えると寒気がするのである。