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全日本食えばわかる図鑑―椎名誠

以前にも似たような名前の本について見たような?と思ったあなたは、このブログの通である。そのとおり、「全日本食えば食える図鑑」というのを読んで、ここで取り上げた。実は、今回の本の方が古いので、順序が逆になってしまったのである。「食えばわかる」は1985年の刊行だから実に20年以上前だ。

文庫版(集英社文庫)

単行本(小学館)

「食えばわかる」は、小学館のビッグコミックスピリッツに連載されていた、椎名誠さんのコラムを書籍化したものだ。青年コミック誌に連載されていたというのが意外である。この手のエッセイは、東海林さだお先生の「あれも食いたい、これも食いたい」(週刊朝日)のように、中年向け週刊誌での連載と相場が決まっているものだと思っていたが、その認識は改めねばならないようだ。

連載時のタイトルは不明だが、書籍化するにあたり、「~図鑑」という名称になり、図鑑に相応しいように、これもお馴染みの沢野ひとし氏によるイラストが加えられたということだ。ちなみに連載当時は、椎名氏直々のイラストであったというから、これも見てみたかった。きっと、いい意味で味のあるイラストだったのだろう。

さて、中身の方はといえば、「食えば食える」のようなゲテモノ系が入っているわけでもなく、身近なオーソドックスな食べ物についてのエッセイである。いや、よく見たら、いや、よく見るまでもなくいきなり「ゴカイとイソメ丼」なのだが…。この流れは、「食えば食える」に引き継がれているようだ。

いきなり濃いテーマだったので、そのあとはごくごくふつうの食べ物というか食べる場所、食べるシチュエーションの話になり、テーマ的には東海林さだお先生とも被りつつあるのだが、まぁそれはそれで椎名節というか強引な運びと独特の価値観、こんな生活をしていて大丈夫なのだろうかとも心配になるような話が満載になるのだ。

実は、一番面白いのは巻末のシリアス対談「野菜ランキング」ではないだろうか。椎名氏、東海林先生、沢野氏による対談では、タマネギが異様な高評価になるあたり、それについてはまったく同感と思わざるを得ないのだ。

上で書いたように、本の方には沢野ひとし氏の挿し絵が入っているのだが、これが妙に味があるというか難解というか、うまいのか下手なのかわからない中にも、女性に不思議な色気を感じたり、文章を読んでから味わうとなかなかいいものでございますね。

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