久しぶりの「辛いもの探検隊」だ。秋雨のパッとしない天気の中、赤坂に出向いた。目指すは、「一ツ木通り」沿いにある四川料理の店、「同源楼」だ。
ビルの2階にあるこの店には、エレベーターで上がる。2階なのに、階段も使えないのは、かなり面倒である。さて、エレベーターで2Fに上がり扉が開くと、いきなり店内である。エレベーターホールのようなものはない。エレベーターを出ると、いきなり「いらっしゃい」が炸裂するのである(しなかったが)。
席を案内してくれるわけでもなく、奥の方に進もうとしたら、もっとも入口に近い席に案内された。何だか落ち着かないなぁ、と思ったが、あとになって思えば好都合なのであった。席についてメニューを見せられるが、食べるものは決めていた。麻婆豆腐である。麻婆豆腐には目がないのである。
お茶(プーアール茶?)の入ったポットと、空のグラスが2個来る。そうそう、忘れていたが、いつものメンバーがいるのである。「隊」というくらいだから、ひとりでは様にならないのだ。同好の士、求む!
さっそく注文する。私はもちろん麻婆豆腐定食、同行のN氏は、担々麺大盛りである。辛さを調節するオプションはないようだ。しばらくすると、前菜のようなものが運ばれてくる。上の方に見えるのはザーサイの小皿(これがあとで役に立つのだ)だが、手前のは「豆腐の上にキュウリとヤマイモとピータンをさいの目切りにしたものが乗っている」といったものである。なんだかあっさりしすぎているなぁ、と思ったが、このあっさり具合があとで効果的なのであった。
スープも付いてくる。干しエビが入っていてうまいはうまいが、いかんせん冷めている。できれば、アツアツのがほしい。ご飯も同じだ。だが、これがあとになって間違いだと気付くのだ。
本体である麻婆豆腐がきた!ううむ、色が濃い。だがうまそうだ。
ちなみに、こっちはN氏の注文した担々麺。これにも、同様の前菜が付く。深い器に、見るからに辛そうな液体。ちょっと白っぽいのはなんなのだろうか?
では、恒例の「お裾分け」だ。ザーサイの入っていた小皿からザーサイ本体を前菜の皿に移し、お互いに盛る。皿が浅く小さいので溢れそうだが、何とか盛る。これが、担々麺だが、一瞬スパゲティのようにも見える。そう、麺がストレートで縮れていないので、スパゲティかちゃんぽんのように見えるのだ。
まず、これを平らげたが、なるほど辛い。だが、その前にかなり濃厚である。以下は、N氏のコメントである。
担々麺は辛さと冷めにくい濃厚ゴマスープの熱さで汗だくになりますが、具の下にチンゲン菜が隠れており、良い箸休めになります。
「チンゲンサイの上の具」というのが何を指すかわからないが、とにかく濃くて、辛いのだろう。確かに、みるみるうちに汗だくになるN氏を見ていると、私などは怖くて手を出せないのだ。だがうまいはうまい。小皿の上のものは、スープを含めてあっという間になくなった。
さて次は自分のものだが、まずはレンゲで掬い、一口味見をする。なるほど辛い。唐辛子の辛さとは違った辛さだ。辛いがうまい。次は、ご飯の上に乗せてしまう。そのままかっ込む。これは辛い。だがうまい。この繰り返しだ。
これには、山椒の一種である「花椒(ホアジャオ)」が入っており、口の中が痺れてくる。これは、「麻味」(マーウェイ)というらしい。「麻椒(マアジャオ)」というものも使われているらしく、より本場の味に近いということだ。このしびれ感はかなり強烈で、もしかして一服盛られた?と勘違いしようというものだ。
このしびれの合間に、上のキュウリなどをつまむと、舌がリフレッシュされる。そう、単独で食べると???といったものなのだが、このためにあったのだ。
デザートには、杏仁豆腐が出てくる。これが生クリームのように甘いのだが、辛いものをさんざん食べたあとには合っているのだろう。
しめて800円。「火鍋屋」と同じ価格だが、本格度ではこっちの方が上という感じだろうか?まぁ、どっちもうまいと思うが。普通の店並みの冷房で、案の定汗だくになってしまった。やれやれ。