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水木しげる伝―水木しげる

我が敬愛する水木先生の自伝コミックを紹介します。「水木しげる伝」です。今、NHKの朝の連続小説で「ゲゲゲの女房」が大人気ですね。これまでの不振を吹き飛ばすほどの大人気だとか。奥さん役、キレイな人ですね。旦那さん役も、普通の人のような。まぁ、別の話と思っていた方がよいでしょうね。

さて、このお話、三部に分かれていて、それぞれ本も分かれています。「戦前編」「戦中編」「戦後編」の(そのままですね)、三部作です。大まかに、「戦前編」は子どものときから出征まで、「戦中編」は文字どおり戦争のまっただ中のこと、「戦後編」は戦争が終わって漫画家として身を立てているときのお話です。

水木サン(先生、と呼ぶより作中風にこう呼ばせていただいた方がしっくり来そうです)は1922年、大正11年の生まれですから、この作品には昭和全体と、平成の今までが反映されているわけです。

「戦前編」は、水木サンがお生まれになってから、出征するまでのことが書かれています。まぁ何か尋常ならざる子どもというか、友だちの女の子がはしかで死んでしまうとか、のんのんばあのこととか、けっこうすごい話です。私は、この「戦前編」が一番好きですね。

「戦中編」は、文字どおり戦中のことの話で、水木サンが出征し、南の島に駐留して理不尽な目に遭いながらも現地の人と心を通わし、なんとか戦争も終わって帰るまでが書かれています。もともそ不思議なことが好きな水木サンだったようですが、南の島でのもろもろがその後の精神活動のベースとなっている、そんな気がしますね。

とはいえ戦争そのものの話は悲惨なもので、自分なら耐えられないだろうとか、今はなんだかんだでよすぎる時代だよな、とか想いはべらせながら読むわけです。戦中史としてもそこそこ面白い仕上がりです。ところで、水木サンはラバウルから生還しているわけなのですが、このへんの面白い話を見つけました。

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最後まで読んでもらえると、水木サンはすごいラッキーというか、「戦中編」を読んでもすでにラッキーとわかるのですけど、やっぱりラッキーで、それは「戦後編」でも続くんだ、とそういう感じがします。

「戦後編」は、戦争も終わって、漫画家として身を立てていく過程が書かれています。戦後史のような内容にもなっていますが、水木サンがいかように今のようなところまで上り詰めたか、それが如実にわかって面白いです。知った名前もたくさん出てきますね、特にガロ時代とか。

この「戦後編」では結婚してからのお話が後半部のほとんどですが、これって「ゲゲゲの女房」の時代と重なるのですよね。こっちでは、うるさくはないけど普通の平凡な奥さん、という感じですけど、ドラマは、ねぇ。まぁ、書いている人が違うのですから、それぞれの立場で思うことはあるのでしょうね。

最初は鳴かず飛ばずだった水木サンが人気作家になり、アシスタントも多く抱えるようになってバカみたいに多忙になり、それでも戦中に知り合った人たちとの親交を大事にしたり、世界各地の怪しいところに飛び回ったり、妖怪的なものが感じられるのも、「戦後編」の旨味でしょう。

ドラマの影響でにわかに水木サンブームですが、そんなの関係なしに読んで下さい。

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