サイトアイコン たまプラ通信

【コミック】伊賀野カバ丸―亜月裕

暇を持てあます三が日、ふと立ち寄った古本屋で見つけてしまいました。何だかすごく懐かしい、亜月裕の「伊賀野カバ丸」です。文庫版で4巻セット。1巻目は1997年刊行。著者によると18年前だということですから、原作は1979年。またもや(ほぼ)高校生時代の作品が登場しました。

集英社文庫。

一言でいえば、「およそ少女漫画らしくない、ちょっとお下品なネタ満載のコメディ」というところでしょうか?「○○コメディ」の「○○」には何が入るの?ということになれば、やっぱり「ラブコメ」なのかなぁ?

連載は、別冊少女マーガレット。何でこんなものをリアルタイムで読んでいたかと思い出すと、多分妹が購入してきたものを読んでいたのでしょうね。同じタイミングで、河あきらの「いらかの波」とか槇村さとる、くらもちふさこなどの作品を読んでいたかのように記憶しています。懐かしい!

ストーリーは、伊賀忍者の末裔とされる「伊賀野影丸」こと「伊賀野カバ丸」が、祖父である伊賀野才蔵の死とともに私立「金玉学園」(「きんぎょく」と読む。フフ)の理事長である大久保蘭に引き取られ、同時に通うことになった金玉学園でのドタバタです。駅伝あり、野球ありですから、スポーツコメディ?ということにもなるのかなぁ。

まぁ、名前からして「カバ丸」になってしまうわけですから、並みではありません。特筆すべきは、その異常な食欲でしょうか?修業時代に厳しく食べ物を制限された反動で、食べ物に異様な執着を持ちます。これが基本。その中でも本人曰く「もっとも美味しい食べ物」である「やきそば」はほぼ同意です。この漫画を読んだら、絶対に焼きそばが食べたくなることうけ合いです(ホントかなぁ?)。

いわゆる常識が通用しないことはありますが、忍者らしく卓越した運動性能を持ち、基本的に真っ直ぐで素を出すカバ丸には、皆が好感を持ち始めます。中でもカバ丸が一目惚れした理事長の孫大久保麻衣も、さまざまなエピソードを通して徐々にカバ丸に心惹かれていきます。雪山で遭難しかけた麻衣を救出して一晩介抱するエピソードは、私の好きなシーンのひとつです。

さまざまな登場人物も、常識人のようでありながら、なんかこう尋常ではありません。カバ丸を引き取った蘭理事長、それを慕う金玉学園教頭、一見優等生、実は影の総統目白沈音、それを慕う生徒会長の野の草かおる(この人も野○そとか言われてさんざんです)、蘭理事長のライバルのスーばーちゃん(これは尋常じゃないか…)、しまいにはあの長嶋○雄のような人も出てきて、はちゃめちゃです。

この作品、こと表現手法という点において、そのあとに登場した多くのコミック作品に影響を与えているのは間違いないでしょう。「よお」「カア」「クス」「ビクッ」「うそ」「フフ」などはその短いセリフ(擬音?)なのに無限の意味を持ち、他作品でもオリジナルと同じ使われ方をしているような気もします。そしてその表情。あの情けないようなかわいらしい表情にはメロメロです。

コマの隅々までしっかりと読みましょう。何でこんなに細かに書き込むのだろうというぐらい、細かにあれこれ書き込まれています。だいぶデフォルメされた登場人物のセリフなどもしっかりと読みたいものです。

モバイルバージョンを終了