それはある日の朝食のとき。デザートとして、フルーツとヨーグルトに少量のグラノーラをトッピングして美味しくいただいていたのだが…。何か固いものを噛んだな!という認識とともにガキッという異音。とっさに、差し歯のことが頭に浮かんだのであった。
差し歯は前歯、そして噛んだのはグラノーラに混じっていたドライフルーツの小片。このにっくき、普段なら美味しい赤いかけらが、今回の災厄を招いたのだった。
写真:足成
幸い、差し歯は取れたりぐらついていたりしないようだ。ということは無事…?いやいや、あんな音がして無事なわけないべよ。確かに!何だか鈍い感じの痛みでもない妙な違和感が前歯のあたりを覆っている…。これはお医者に診てもらうしかないなぁ…。
妙な違和感があるが、痛み止めを飲むことを迫られるような痛みはないし、腫れているわけでもない。けどやっぱり診てもらいたい!ということで、数日後の診療を予約した。
実は、この事故の前日の晩、歯科医の先生と帰り道ですれ違った。軽い挨拶。思えば、これが伏線だったのかも知れない。天候不順の折、たまたまの大雨の中を歯科医院に向かう。今回の用件はこれだけなので、軽い問診のあと、とにかくレントゲン写真を撮ってみましょう、ということになる。
できれば被曝は避けたい…。とも言っていられない。分厚く重い鉛入りのベストを着用し、口の中に感光フィルムを入れられ、カメラがセットアップされる。そして部屋に一人取り残され、撮影だ。撮影は一枚。現像の間、ベスト着用のままで待機する。ベストを脱いだときの身の軽いこと!ということは、このベストを着て生活すれば、かなり肉体が強化される…に違いない!
それはさておき、レントゲン像を見る限りでは、歯が割れているとかひびが入っているとかそういうことは無さそうだ。とするとあの音と妙な違和感の正体は…?でも、鏡を持っていーっとやって上唇をめくってみて下さいというのでそのとおりにすると、差し歯のある歯茎に赤いポッチがある。なので、何かが起きているのには間違いないとのこと。
この日の診療はこれで終了した。腫れたり、痛みが出るようでしたら来て下さいと放流。でも、この時点で何もできることはないとか。様子を見るために、差し歯を外してしまうわけにもいかないからねぇ…。
ということで、さらに数日が経ったが、鼻の下を押すと鈍い痛みがあったり、容態は悪化しているようだ。しかし、これで先に進めていいものだろうか?という疑念もある。しかし放っておいてもよくない感じもする。
まずは、歯医者さんに見解を聞いてみよう、そうしよう…。