著者さんのお計らいで、自主制作映画「ナニワのシンセ界」、観てきましたぞ。スタジオねこやなぎの大須賀淳監督、場所は東京下北沢。会場はショートフィルムシアタートリウッド(TOLLYWOOD)。上映は夜8時から。ちょっと遅いけど、これもニューヨークスタイル?
パンフレットの表。これがアレだよ、永遠の名機と言われるモジュラーシンセサイザー。
どんな映画?
ナニワってくらいだから舞台は大阪。大阪で盛り上がるアナログシンセサイザーをテーマとしたドキュメンタリー映画。大阪のシンセメーカーREONの技術者、大阪で活動するミュージシャンらの、彼らの熱い思いを思い思いに吐くインタビューをメインに構成される。
大阪には、通天閣で有名な「新世界」という地域がある(そうだ)。その大阪を舞台にしたシンセを素材にしたドキュメンタリーは、新世界をもじってシンセ界だ。
アナログシンセサイザーって?
シンセサイザーって言えば電子楽器。方式は大きくアナログとデジタルがあり、30年ほど前からデジタルが主流になった。だけどアナログ独特の音感や音作りが見直されている。KORGからMS-20が復刻したほか、名機ARP` Odysseyの復刻も予定されている。
ちなみにMS-20には、iPad版のiMS-20もあるでよ。
ブログ主との関係は?
ブログ主は、ヤマハのDXシリーズをメインに触ってきて、電子ピアノpfシリーズやクラビノーバシリーズも自宅に置いていたほどの電子楽器好き。RolandのMT-32, CM-32, SC-55などで打ち込みも実践していた(いわゆるDTM)。
これはつまり、アナログシンセの体験はないということだ。高校時代、Bob JamesのTWOに憧れて、秋葉原でシンセキットを購入してきて組み立てようとしたが、音階をきっちり設定する際に音感のなさに挫折したという苦い経験を持つ。
観ての感想とか?
こんな前提なのだが、すごく興奮した!この映画の上映が決まってTwitterに情報が流れたとき、電子音楽好きが真っ先に反応したのも頷ける。楽器好きというか、広範にメカ好きなら、絶対のめり込める内容だ。
ところどころに挿入される懐かしのシンセサイザーの映像もいい。Jupiter-8, JUNO-106, moog、これはデジタルだけどDX-7も懐かしくてまた欲しくなった。DX-7も誕生30年とかで、デジタルシンセ界の86(ハチロク)という感じかなぁ?
ちなみにこの映画、クラウドファンディングという手法で資金を調達、制作されている(あとで聞いたら、上映に関しての資金だったとか)。有名なクラウドファンディングcampfireにて70名以上の出資を得られたとか。1万円以上の出資者には、特製ジャンパーケーブルとクレジット表示の恩恵があったそうだ!くそっ、知っていれば!
インタビューにもあったけど、アナログを知らず、デジタルで育った世代が、むしろアナログを面白がっているのだと思う。バーチャルなツマミではなく、実際のツマミを回してピッチの変化をダイレクトに体験する、そんな面白さを感じているのだ。
デジタルシンセは、ヤマハのGS-1に搭載されたFM音源からサンプリング音源、ソフトウェアシンセと進化してきた。その流れとは別にアナログシンセという独自の世界があるのだと、改めて気付かせてくれる。
個人的には、インタビューより、メカメカしい部分の映像や解説がもっとほしかったなぁ、と思った。お話もいいけど、あれとかこれとかもっと見せてくれよ!とちょっとだけ叫びたくなった。
パンフレットの裏から。
ここに描かれているのは、かりそめの「クール・ジャパン」ではない、身体感覚を伴う「ホット・ジャパン」だ!!
文化の発祥地としての大阪への愛を感じさせる作品だが、監督は神奈川県在住だ。大阪との縁を、今度聞いてみたいと思った。
上映は、10月24日(金)まで。場所は、繰り返すが下北沢のトリウッド。写真入りのナビゲーションがスゴい親切で、館主の真心を感じさせる。
隣はブリティッシュバーで、こちらもそんな雰囲気だが映画館だ。
謎のカエルの置物。え?これがトリウッド!?
最後に、監督の著作を紹介して締めくくろうかな。