自分のことではないのですが、やらなきゃわからないこともあるということで、知人の経験を書きます。もちろん、許可は取ってありますので、いずれ自分にも役に立てばいいな、という感じでまとめてみます。
話は、株式の売却と税金です。
専門家が書いた投稿ではありませんので、間違いがあったり正確でないかも知れませんが、その点はご了承下さいね。
その人、ある会社のストックオプションの行使でいくばしかの上場株式を保有していました。日経平均が上がるのに釣られてか、その会社の株価も上昇し、そろそろ利益を確定させようかな、と考えるようになりました。
預かり区分の話
上場株式を保有しているからには、どこかの証券会社に口座を持っていると考えるのが普通です。そのとおりで、某大手証券会社に口座を保有していました。そこの口座情報を見ると、確かにA社の株式を保有しているとあります。しかし、気になる記述があります。
預かり区分:一般
この人、B社の株式(某生命保険会社が上場したので割り当てられた株式)も保有していたのですが、そちらは、
預かり区分:特定
となっています。はて?この違いは何だろう?今は、ネットで何でも調べられる世の中ですので、わざわざ証券会社に訊ねるようなことではありません。そもそも、証券会社のWebサイトにも、親切な説明があります。それによると、
- 一般:証券会社の管理外
- 特定:証券会社の管理対象
ということらしいです。つまり、A社の株式は管理外、B社の株式は管理対象、ということですね。でも、これってどういうことなんでしょう。
「特定」扱いですと、証券会社が、購入、売却時に関わる処理(たとえば税金など)をすべてやってくれて、1年分の取引報告書を作ってくれるなど、至れりツクセリです。さらに、売却時に利益が出れば、源泉徴収で勝手に税金を納めてくれます。なので、利益が出ている限りは、確定申告は不要です。年末調整で事が済むサラリーマンにはありがたいしくみです。
これが「一般」扱いですと、「特定」にあるようなことを、証券会社が行ってくれません。売却で利益が出れば、自分で納税する必要があります。しかも、取得価額をきちんと計算した上で、税金のかかる利益部分を示さねばなりません。複数の取引があれば、それらを全部まとめるのも自分です。確定申告の時期が近づいてきたら、頭が痛くなりそうです。
ストックオプションの話
こう考えると、「一般」には何のメリットもないような気がしますが、そもそもなぜ「一般」なんでしょうか?それは、ストックオプションの行使で取得した株式、というところに理由がありそうです。
ストックオプションにもいくつかの種類があるようです。まず、税制適格、税制不適格、の2種類です。税制不適格の場合、行使の時点で課税されます。それは、ストックオプションが給与の一部と見なされるためで、所得税として課税されてしまいます。これってすごい不幸な話で、たとえば行使価格が1千万円なら、自分の所得にそれが載せられて課税されますので、所得税と、翌年の住民税が跳ね上がります。ストックオプションの規模によっては、最高税率55%が適用されてしまうかも知れません。あわわわ、となりますよね?
しかし、税制適格の場合はそういうことはないので、売却時に気にすればよい、ということになります。きちんとした会社なら前者の税制適格になるようですので、あまり心配はいらないと言うことのようです。
さて、知人の場合はこのどちらでもなく、いわゆる「有償ストックオプション]というもののようです。これは、対価を払ってストックオプションの権利を行使しているということで、給与扱いには当然のようになりません。お金を払って購入しているとなるわけで、そこにはリスクもあるので、当然ですよね。
さて、話を戻します。ストックオプションの権利行使で取得した株式、それは現在取引のある証券会社とは無関係なところで発生したものでした。たとえば、A社の幹事証券会社の口座に入っていたものを移した、そんな感じです。すると、その取引は現在の証券会社には関係ないとして、「一般」扱いになってしまうようです。
証券会社の口座の話
「一般」「特定」という話が出てきましたが、実はこれは口座にも当てはまるようです。証券会社に口座を開設する際に、「一般口座」と「特定口座」を選べるようになっているようなのですが、上記のとおり「一般口座」は証券会社が面倒を見てくれない、「特定口座」は証券会社が面倒を見てくれる、そんな違いがあります。「一般口座」を選ぶメリットはまったくないと言ってよく、普通は「特定口座」を選ぶことになるようです。
「特定口座」には2種類あり、それは税金の納め方のようです。「源泉徴収あり」では、売却時に利益が出れば、自動的におよそ20%の税金が課税され、証券会社が納めてくれます。これに対して「源泉徴収なし」では、自分で利益額を計算し、確定申告します。なので、たいていの場合は、「源泉徴収あり」を選んでおけば問題ありません。
さて、「一般」での税金はどうなるのでしょうか?知人は、売却益が所得に加算され、トータルで課税されると思い込んでいました。給与所得に売却益が載るので、税率アップ、納める税金も増えると考えて、売却に二の足を踏んでいました。しかし、よくよく調べてみると、「一般」での売却益に課税される税額は、「源泉徴収なし」と同じなのです。つまり、およそ20%の税率が適用されて、これは給与所得とは切り離されて計算されます。これは、申告分離課税と呼ばれます。
なので、本業の給与所得とは関係なく、安心して売却できます。給与所得が多かろうが少なかろうが、とにかくおよそ20%なのです。これなら、一気に売却してしまい、確定した利益で別の投資をする、ということを躊躇せずに行えそうです。もちろん、納税分はしっかり確保しておかないと、確定申告後にパニックになることになりますが…。
ということで、いつかは自分の役にも立つかも知れないと、まとめてみました。間違いがありましたら、ご指摘お願いしたいです。