ちょっと間が空いてしまったが、アップグレードインストーラの作成記を続けよう。今回は、Visual Studio Installerを導入し、基本的なインストーラを作成してみる、ということをやってみる。Visual Studio Installerを使用するには、Visual Studio 6.0などのユーザではなければならないから要注意だ。
まずは、Visual Studio Installer 1.1を入手しよう。単独で配布されているものでは、これが最新版である。
ダウンロードは、ページ右上にあるDownloadリンクから行える。ダウンロードにあたっては、Visual Studio 6.0か個別の言語パッケージがインストールされているものとして、Product IDが必要になる。Product IDは、Visual Studio 6.0などの[Help]-[バージョン情報…]で取得できる。これを入力すれば、ダウンロードが可能になる。
Visual Studio Installer自体のインストールは簡単だ。これについては特に説明しない。
インストールが済んだら、起動してみよう。最初は、以下のようなウィンドウがポップアップする。
ここでは、インストーラプロジェクトの名前とそれを作成するフォルダを指定する。何でもよいが、あとで変更するのは面倒なので、それらしい名前にしておくこと。ここでは、TestInstallerとしておく。名前にTestInstallerと入れれば、場所にもC:\Documents and Settings\naosan\My Documents\TestInstallerと反映される。開くボタンを押せば、セットアップウイザードが起動する。
セットアップウイザードでは、コードページを指定する。これだけ?と疑問に思わないこと。本当にこれだけなので。日本語のインストーラを作成するのでない場合以外は、日本語コードページを使用のままにしておこう。完了ボタンを押せば、ウイザードが終了し、インストーラ作成用の各種ファイルが作成される。
ここ以降は、話を単純化するために、インストーラによってインストールされるプログラムはtest.exeの1個だけという仮定で行く。最初にプロパティを設定してしまおう。どうしても初期設定を変更しなければならないという項目はないが、最低限確認しておくべきという項目はあるので、そこだけ見ていこう。[プロジェクト]-[TestInstallerプロパティ…」を開く。
できあがりのWindows Installerファイル(拡張子msi)の名前を変更したければ、出力ファイル名の項目を変更する。プログラムのインストール先を変更したければ、[インストールフォルダ]タブの場所と名前を変更する。場所に規定値で表示されている「プログラムファイルフォルダ」とは、C:\Program Filesといったフォルダのことだ。ここじゃイヤだ!という場合には、変更しよう。名前は、たとえばC:\Program Filesの下に実際に作成されるフォルダの名前だ。必要なら変更する。ここでは、双方とも規定値で進む。
[製品情報]タブの名前は、インストーラが起動したときに表示されるアプリケーションの名前なので、それらしい名前に変更するのが普通だ。ここでは、「テストインストーラ」と日本語にしてみよう。とりあえずここだけ変えて、OKボタンを押す。
次は、インストールによって実際にコピーされるファイルや、スタートメニュー、デスクトップなどのショートカットなどを登録していく。Visual Studio Installerウィンドウ右端にあるプロジェクトエクスプローラで、ファイルシステムをダブルクリックしてファイルシステムウィンドウを表示させる。
「アプリケーションフォルダ」には、たとえばC:\Documents and Settings\TestInstaller以下に置くファイルやフォルダを登録していく。「アプリケーションフォルダ」の表示上で右クリックれば、[ファイルの追加…]などのメニューが現れるので、ファイルを選んだりフォルダを作成していく。ここでは、test.exeを登録するだけにする。
「ユーザーの[スタート]メニュー」には、スタートメニューから呼び出す際のショートカットを登録する。多くの場合、スタートメニューの「すべてのプログラム」(Windows XPの場合)直下に置くことはないので、何か適当なフォルダを作り、その下に置くようにした方がいいだろう。フォルダを「プログラム」(全角)という名前で作成し、そこにさらにTestInstallerというフォルダを作成し、そこにショートカットを追加する。ショートカットのターゲットは、もちろんアプリケーションフォルダに追加したtest.exeだ。
必要ならデスクトップにもショートカットを作成できるが、ここでは作成しないことにする。
ここまで作業したら、[ビルド]-[ビルド]としてインストーラプロジェクトをビルドする。ここで、インストーラファイルがOutput以下に作成される。さっそく実行してみよう。実行も、Visual Studio Installerから行える。[プロジェクト]-[インストーラの起動…」だ。起動すると、以下のようにおなじみの画面を見ることができる。
あとは、いつもの要領でインストールを進めていけばいい。削除は、コントロールパネルの「プログラムの追加と削除」で行える。
作業が終わったら、Visual Studio Installerを終了しよう。このとき、プロジェクトファイルを保存するのを忘れないようにしよう。
以上、簡単にVisual Studio Installerによるインストーラ作成の手順を見てきた。単純なアプリケーションなら、これで十分だろう。しかし、業務用のアプリケーションを作るとか、ユーザの使い勝手を考えていくと、いろいろ足りないところに気付いていく。次回からは、このあたりを見ていこう。