我が家のデスクトップコンピュータ用のモニタ(SONY CPD-17ES)に寿命が来た。購入は1999年というもので、もう6年ほど使ったことになる。CRT表面のコーティングははげ落ち、今では時代遅れのサイズと消費電力、発熱量と、一生懸命働いてくれたのには悪いが、少々もてあましていた感じだ。故あってコンピュータの異動を行うついでに、長い間使ったモニタに別れを告げて、今流の液晶モニタへの転換を試みたのであった。
それにしても、単独商品としてのモニタは年々規模が縮小しているようだ。ノートブックPCのシェア拡大、モニタ付きの安価なデスクトップPCの普及などで、単独でモニタを購入しようという機運は薄れていると思われる。案の定、近くの大規模家電量販店でも、モニタは隅っこの方に追いやられていた。同じく近くのPCショップでも、奥の方にこぢんまりと売り場が存在するだけである。ちょっと見ない間に、ずいぶんとマイノリティに成り下がってしまったという感じだ。
だが、自作マニアや一部の買い換えユーザのために、縮小とはいいながらもれっきとした需要があるのは事実。古いモニタの処分ということもあるから、店頭での購入を試みたのであった。
さて、数あるモニタメーカーの中からどこを選び、数ある機種の中から何を選べばよいのか?BCNという業界情報誌によれば、モニタのシェアはトップが三菱電機、次が意外なことにアイ・オー・データ機器、次がiiyama、あとはその他大勢といった感じだ。モニタでアイ・オー・データ機器というのもイメージにないので、まずは三菱電機製のものを検討する。
条件は、19インチ、SXGA、スピーカー内蔵、デジタル・アナログ両対応、などだ。メーカーのサイトで検索してみると、何と一機種(MDT191S)しかないと出る。後になって、これは間違いだとわかるのだが、ざっと調べてみてもこれ以外にマッチする機種が出てこない。この一機種も、TVチューナー内蔵でかなり高い。なので、次点のアイ・オー・データ機器を調べてみることにする。
ここでも、同じように絞り込んでいくと、出るわ出るわ、同じような型番の機種がぞろぞろ出てくる。いったい、どれを選べばいいのだ、という気持ちになる。LCD-AD193, 194, 95とあって、195がもっとも新しいシリーズらしい。見ると、この2月に出荷開始とある。こういう新製品は性能はよくなっているだろうが、えてして高い。193シリーズは在庫限りとあるように、完全な旧モデルだろう。とすると、ねらい目は194シリーズということになる。ちなみに、194の19が、インチサイズだ。
で、LCD-AD194をよく見てみると、G, V, C, Yと4つのグレードがある。それぞれ、微妙に機能や性能が異なるらしい。デジタル・アナログ両対応は、全機種共通のようだ。で、さらによく見てみるとCは若干古いらしく、PCグリーンに対応していない。残る三つを比べると、G, V, Yの順になるようだ。基本的に、液晶の程度が異なるらしいが、VとYの違いがどうしてもわからない。こんなものなのだろうか?さらに見れば、Cの後継がVとある。Cのキャッチコピーは、「プレミアムモデル」だ。とすると、Vもプレミアムモデル?でも、Yとの違いがわからないし…。ま、とにかく194Vの方が新しいらしいな。このへんにしておこうと、とりあえず決める。
お目当ての機種が決まれば、量販店へGo!だ。古いモニタを持っていくのを忘れてはならない。近くのY電機A台店に行ったが、モニタの売り場がない!いや、そんなはずはない…。よく見ると、中古PCの棚の向こう側に、壁に貼り付くように人影もまばらな一角がある。こんなに落ちぶれて…。利幅も薄く、同じものなら液晶TVの方が単価も上で利幅もある、となれば差別されて当然なのだろうか?展示されている機種もまばらだ…。気を取り直して、どのような機種が並んでいるか見てみる。ひい、ふう、みい、得?19インチではたったの5機種だ。三菱電機、アイ・オー・データ機器、あとはバッファローか。寂しい。後ろを、「モニタは過当競争で撤退ばかりで~」と知ったかぶりで講釈たれて通り過ぎる親子。
さらに気を取り直してみる。何と、三菱電機の二機種は、19インチ、SXGA、スピーカー内蔵、デジタル・アナログ両対応というものだ。こういうのはTVチューナー内蔵で高いはずだったのでは?とよく見れば、型番も違う。RDT193Sという機種だったか(うろ覚え)。この機種は、メーカーのサイトには載っていない。載っていなくともここにはあるのだから、迷わず、「買い」だ。脇にあるアイ・オー・データ機器のCPD-AD194Yに比べると液晶の質が明らかによい。
店員を呼び止める。嫌々来る店員。これが欲しいと告げると、在庫を調べるという。しばし待つと、苦い顔をした店員登場。「展示品のみになります。」え~またかよ。展示品には少々悪い思い出のある私は、ためらった。しかも、いつから展示されているのか、ホコリまみれだ。多少安いくらいで、見てくれも悪く、しかも機能的にも安心できないものを買う必然性はない。だが何と、新機種が入庫するからと言うアイ・オー・データ機器と同じパターン。新機種は、性能は上がっているのだろうが、高い。
で、脇にあるアイ・オー・データ機器ものは194Yという機種だ。液晶の質が、明らかに三菱電機のものより劣っているので、買う気が失せている。だがこれはYだ。しかも、SXGA対応のモニタに、SVGAの映像を流している。これではぼけてしまうのは当たり前だ。比較にはならないと考え、店員には、ほかの機種がないか聞く。よく見るとCがあるのだが、これは明らかに画質が悪い。店員に、なにゆえにこんなに細かく機種があるのか?と尋ねれば、「確かにラインナップ用意しすぎですよね~」なんて気のない返事。再検討すると告げると、明らかにむっとして返事をしない店員であったのだ。
なので、Y電機は後にして、少し離れたPC専門ショップPデポK北店に向かう。こっちも、モニタコーナーはPCデスクの脇というマイナーな扱いだ。だが、品揃えが大幅に違う。バッファロー、コレガ、QBen?なる耳にしないメーカー、忘れていたSONY、ご本家SHARPもある。だが、三菱電機のものはない。アイ・オー・データ機器のものは、かろうじてある。よく見ればVがある。195シリーズが発売開始と言うことで、処分価格だ。38,000円(税抜き)ということなので、購入を決めてしまう。色は、何となく黒だ。見た目の発色もいい(こちらは、解像度とおりの映像が入力されている)。
それにしても、19インチの液晶モニタが、4万円を切る価格で買えるようになったのだなぁ、とひしひし感じる。持っていったSONYのCRTは、17インチで5, 6万したように記憶している。15インチや17インチの液晶ならもっと安い。もっとも、私のノートPCのモニタは、14インチでSXGA+だものなぁ、…。
古いモニタは、無料で引き取ってくれるという。確か、こういう類のものは有料だったのでは?と記憶をたぐるが、定かでない。だが、モニタを購入した場合には、レシートを見せれば無料で引き取ります、とのこと。ならば、迷うことなく渡してしまおう。カウンターに持っていけば、店員が近寄ってくる。「引き取りですね?」「レシートを見せろと言われたけど?」「先ほどご購入されたお客様だと言うことはわかっていますから!」気持ちいい対応だ。常にむっとしてぞんざいな感じのY電機とは大違いだ。家電を買うときには、Y電機でいいのだが、PC関係はそうでもないようだ。
アイ・オー・データ機器のLCD-AD194V(B)は、電源内蔵、ケーブル全部付きなので、すぐに設置できる。PC側がデジタル対応なら、迷わずデジタルで接続しよう。オーディオ信号は、両側がミニジャックだ。足をはめる。角度調整…。これがなかなかスムーズにいかない。ちょっと力を入れて本体を傾けてみると、ようやく動く。もしかしたら固定?と思ってしまった瞬間だ。液晶の表示は、比較対象がないせいかもしれないが、かなりきれいな印象。価格的には、満足できる水準といえる。動きのあるゲームをやらせても、追従速度は十分である。スピーカーからの音が思ったより小さいのでは?と思ったが、これはPC本体のボリューム調整で解決できる。PC本体からは大きめで出すようにしておき、モニタ側で音量を絞ればいいだろう。
しかし正直言うと、明るさが250カンデラで、速度が8msで、コントラストが500:1で、視野角が160度で、と言われてもあまりピンと来ないのであった。以前は、ほとんどブラウン管のサイズ、解像度、価格で決めていたよなぁ、という感じである。