おなじみ妖怪ハンターシリーズ。ただこちらは講談社小説現代「メフィスト」に連載されたものの加筆修正版だ。判型もワイド版となっている。一冊が丸ごとひとつのお話しになっているが、果たしてその内容は…。
魔障ヶ岳という霊山に遺跡の調査に赴いた稗田礼二郎。最初の旅は、後輩の考古学者、宝器を持つ家の娘、修験道者と連れ立つことになったが、そこから持ち帰った「名前のないもの」によってそれぞれが奇異な運命を遂げることになる。「名前のないもの」に付けた「名前」によって、それぞれが辿る運命とは…。
それを書いてしまうと面白くなくなってしまうので、それは読んで下さい。一人は「魔」と、一人は「神」と、一人は「人の名」を付けましたが…。
それにしても、氏の作品に出てくる準主人公級、脇役級の女性は、ことはかとなく魅力的であるのはどうしてだろうか。特に、今回の作品に登場してくる「小野寺みどり」などはその典型である。魅力的というのは主観的なもので、誰もがそう思うわけでもないと思うのだが、私はそう思うのである。共通点は何だろうと考えてみると、1)よほどの美人というわけではない(というか妖艶という感じではない)、2)知的な感じを漂わせている、3)意外に行動的である(行動的でないとこの作品のヒロインはつとまらないのだが)ということに尽きると思いますね…。
忘れそうですが、稗田礼二郎本人も、何かを持ち帰ったのであるが、名前を付けなかった。そのことによって救われた部分もあるが、狂天という謎の男については解釈不能である。