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シリアルATAハードディスクを増設

自宅のファイルサーバ兼私の専用デスクトップPCにおけるディスクの空き容量が逼迫してきた。ならばハードディスクを増設すりゃいいじゃん、ということになるのだが、もうすでに限界まで増設済みなのであった。古いタイプのマザーボードを搭載した自作機で、今流行りのシリアルATAのインタフェースなどは搭載しておらず、伝統的なパラレルATAハードディスクを4台(実際はCD-ROMドライブなども接続するので3台)までしか搭載できないのだが、これでは足りない事情が発生した。

その事情が何であるかは、やんごとなき事情であるので省略。

この自作PCにハードディスクをフルに増設した際の主流のHDDは容量250GBというもので、それを越えるものはバカみたいに高いか、あるいはドライブの回転数が7,200rpm未満であるなど、デスクトップPCに気軽に増設できるという感じではなかったのである。現在は、400MB, 500MBといった倍ほどもあるハードディスクに値頃感が出てきているが、これに置き換えるにしても、フルに増設してしまっている都合上、どれかを外してそこに新しいHDDを装着し、別のHDDからデータを移してそれを外し、さっき外したのを付け替える、と非常に煩わしい。ジャンパの設定なども注意しながら、ということになるとはっきり言って面倒だ。

しかしそれ以前に、400MBを越えるクラスのハードディスクで手に入りやすいものはほとんどがシリアルATA規格のものであり、従来のパラレルATA規格のものは、少なくとも現時点では250GBまでと思っておいた方がよい。そこで、シリアルATAによる増設を試みることにした。これなら、既存のドライブ構成に手を入れずに、新規にドライブを増設できる。心配なケースのベイ数や電源容量についても、タワー型のケースなので安心だ。

前置きが長くなったが、シリアルATA規格のハードディスクを、ちょっと古いマザーボードを積んだ自作機に搭載しましょう、という記事なのである。

さて、最初に用意すべきはシリアルATAのハードディスクを接続するための増設インタフェースカードである。その前に、ATA規格について簡単におさらいしておこう。

現在、ATA規格はパラレルATAと、シリアルATAに分けられる。パラレルATAとは、その名のとおりデータ転送を並列で(すなわちデータのビット数に応じた数の信号線を使って)行う方式で、現在の転送速度は最高133MB/sである。これに対してシリアルATAとは、データ転送を基本的に1本の信号線で行う方式で、現在の転送速度は最高300MB/sである。パラレルATAの場合、1個のデータを送るのにも複数の信号線を使うので、転送速度を上げるとそれぞれの信号線におけるタイミングの制御がシビアになり、速度は現在の133MB/sが上限と言われている。

これに対してシリアルATAは単一の信号線でデータを転送するため、タイミングの制御が容易である。このほか、ケーブルの形状から来る信号線間の相互干渉も受けにくく、高速化の余地が大幅に残されている。シリアル方式が有利なのは、USB 2.0,IEEE1394などの高速インタフェースがすべてシリアル転送方式だということからもわかる。ちなみに、シリアルATAの規格は150MB/sのものと300MB/sのものがあり、後者はシリアルATA-IIと呼ばれている。

このように、パラレルATAとシリアルATAにはまったく互換性がないので、シリアルATAのハードディスクをつなぎたいのであれば、それに合ったインタフェースを増設する必要がある。ちなみに、最近のマザーボードには、最初からシリアルATAのインタフェースが搭載されていることがほとんどである。今回のように、パラレルATAのインタフェースしか持たない古いタイプのマザーボードでは、シリアルATAのインタフェースを増設する必要がある。

シリアルATA用の増設インタフェースカードはたくさん売られているが、もっとも基本的な注意点は、シリアルATA(以降SATA)とシリアルATA-II(以降SATA2)という2つの規格を明確に区別する必要があるということだ。ハードディスク側にはSATAとSATA2における互換性があり、SATAのインタフェースにSATA2のハードディスクを、SATA2のインタフェースにSATAのハードディスクを、それぞれ接続することができる(もちろん、転送速度はインタフェースあるいはハードディスクの仕様に依存する)。ただしPCへの接続側は、SATAがPCIバス、SATA2がPCI Expressバスというようになっていることが基本である。これは、PCIバスがSATA2の転送速度をカバーできないことにある。もちろん、SATAインタフェースを搭載しないような古いマザーボードがPCI Expressバスを持つわけがなく、必然的にSATAのみのインタフェースを選択することになる。

そこで今回は、BUFFALOのIFC-ATS2P2を選択した。価格が安い(約3,000円)ということと、SATAインタフェースを2基、パラレルATAインタフェースを1基、それぞれ搭載しているお買い得感もある。ほかにもAdaptecや玄人指向などから販売されているが、値頃感でこれを選択した。SATAのケーブルが2本、PATAのケーブルが1本付いて、お買い得と思う。だが、肝心の性能の方は使ってみないことにはわからない。

外箱の写真じゃなくて中身なんですね。

次に、ハードディスクを調達する。現時点で、SATA2対応の500GBクラスのものが流通しはじめているが、品薄かつちと高い。なので、値頃感のある400GBのものを選択する。出向いたショップでは、日立(HGST)のものとSeagateのものがあったが、プラッタサイズが大きく価格も5000円以上安いSeagateのものを選択した。実は、Seagate製品にはあまりよい過去がないので、できれば選択したくないと思っていたのだが知人の執拗な推薦もあり、実験的に選択してみることにする。Barracuda 7200.8シリーズの、ST3400832ASというモデルだ。SATA、400GB、プラッタサイズ133GB、バッファ8MB、回転数7,200rpm、シーク速度20msというスペックだ。

忘れてはならないのが、SATAハードディスクに供給する電源のケーブルである。SATAインタフェースを持たないマザーボードには、当然SATAハードディスクのための電源ケーブルなどは付属しない。そこで、通常の電源ケーブル(メス)をSATA電源ケーブルに変換する必要がある。今回は、たまたま見かけたバリューウェーブのPCS-23を選択する。1個のコネクタから2個のSATA電源が取れるというものだ。

 バリューウェーブ PCS-23

これらが揃えば、PCに装着していく。最初に、SATAインタフェースカードをPCIバスに装着する。ハードディスクドライブの装着位置から遠くならないように、スロットを選択するように気を付ける。次に、ハードディスクドライブを装着する。これについては、今までのパラレルATA対応ハードディスクドライブと何も変わらないので、空いているベイに装着する。ちなみに、ほとんどのケースは4台までしか装着できないようになっている。これは、パラレルATAでの標準搭載台数と同じだが、CD-ROMドライブは別の5インチベイにあるので、1台分空いている。そこに、SATAハードディスクドライブを装着する。

最後は、ケーブルの結線だ。電源ケーブルとSATAケーブルを接続する。電源ケーブルは、先ほどのPCS-23を空いている電源ケーブルに接続し、2つあるどちらかのSATA電源ケーブルをハードディスクに接続する。SATAのコネクタは、信号線も電源もL字型に鍵型が付いており、誤装着を防いでいる。SATAケーブルは、インタフェースカードのチャネル1側とされている側に、優先してつなぐようにする(実用上は、どっちでも構わないが、気分の問題)。

電源ケーブル

SATAインタフェースケーブル

SATAのコネクタ。左が電源、中央が信号。

ここまでやってしまえば、あとは電源を入れてみる。シリアルATAのBIOSはインタフェースカード上に搭載されているので、SCSIカードなどと同様に、初期化画面が表示される。このとき、チャネル1に接続したハードディスクの機種名が表示されればOK。そのまま起動させて、Administrator権限を持ったユーザでログオンする(ちなみにWindows XP)。すると、おなじみの「新しいデバイスのインストール」が始まるので、IFC-ATS2P2に付属してきたCD-ROMをドライブにセットし、自動的に検索させればドライバのインストールは完了する。IFC-ATS2P2の説明書には、このウイザードを終了させて付属の「簡単セットアップ」とか言うのを使えとあるが、私はこういうのが嫌いなので使わずに済ますことにする。使わなくても、ドライバのインストールはあっけなく終了する。終了すればシステムを再起動する。この時点で、新しいハードディスクが使用可能だ。あとは、パーティションを作るなり、フォーマットをしたりするのはいつもどおりだ。

ついでに、IFC-ATS2P2にはアクセスLEDのコネクタもある(写真右手)。必要なら、ここにケースへのアクセスLEDの信号線をつないでもいいが、マザーボード搭載のインタフェースに接続されているハードディスクのアクセス状況が反映されなくなる。なので、ここは何もつながない、というようにするしかないだろう。SATAとPATAの2系統あるので、どのみちアクセスLEDが複数あるようなケースか、そういうアタッチメントがある場合の専用と割り切った方がいいだろう。

最後になるが、IFC-ATS2P2にはPATAのコネクタも付いている。IFC-ATS2P2の説明書によれば、ここに今まで使っていたハードディスクを接続してもそのままでは使えない場合もあるとある。それがどういうことなのか、データ転送済みのハードディスクをつないで試してみる予定だ。

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