作家戸田覚氏による、日経トレンディネットの記事「Let’s noteよ、頼むからもっとがんばってくれ!」を読む。奇しくも同い年の氏の記事は、同じLet’s noteユーザーの私にとっても興味深いものであった。次々と出る新モデル…。だが、CPUの速度向上、メモリ容量アップ、HDD容量アップというような地味な進化で、それは大事なことと思うのだが、壊れたらそのときの最新モデルを買う、程度の購入動機にしかならないのは事実である。
私のLet’s note歴は浅い。現在がY7A、その前がY2Dである。延べでは5年ほどのユーザーだろうか。しかも2台しか使っていないし。そういう意味では、筋金入りのLet’s noteユーザーとは言えないかも知れない。
戸田氏の主張はこうだ。最近のLet’s noteは、そもそものウリであった軽量、コンパクト、バッテリー長持ちという点で東芝のDynabook(Dynabook SS RX2)やレノボのThinkPad Xなどに追いつかれている。また、Let’s noteの持ち味である堅牢性も一般的な利用でどれほどの価値を持つのか疑問だ。
この記事では、W8という機種を取り上げている。12インチ液晶、XGA解像度、光学ドライブ内蔵というモデルだ。実はこのスペックは、W2のときから変わっていない。いや、Wに限らず、Y, T, Rと液晶のサイズ、画面解像度、光学ドライブの有無は変化していないのだ。変わっているのはバッテリー持続時間、CPU、メモリ、HDDなどがメインだろうか。つまり、表側はあまり変化していないことになる。Wの持つXGA解像度というのは、同じ12インチ級ではワイド液晶などを搭載している機種が一般化しているのを見ると、確かに陳腐である。
また、Wでは小さなサイズにいろいろ押し込むためか、厚みがかなりあり、また側面のスイッチや端子類の配置もけっこうごちゃごちゃしているようだ。Let’s noteシリーズの特色であるシェルドライブ(ホタテ貝のように、光学ドライブのフタが上に開く仕組み)のおかげでもっと側面はスッキリしていていいはずが、どうもこうはなっていないようだ。
ちなみに私の使用しているのはYシリーズなので、事情はかなり異なる。14インチ液晶、SXGA+(1400×1050ドット)というスペックは、今でも見劣りしない。ワイド液晶が一般化したので、Fシリーズのように1440×900ドットといった画面構成のものも登場したが、個人的には縦に広いのがありがたい。画面が縦に広いので、タスクバーを二階建てにして使ってもまったく問題がない。画面が大きいのでキーのピッチも広いし、何しろ厚みが出ない、側面、前面ともにスッキリしているというのがよい。重なっているのはPCMCIAカードスロットと、SDカードスロットくらいで、あとはキレイに並んでいる。
ただ、Yシリーズの大きさが困る、という人はいるだろう。個人的にも、ちょっと大きいとは思う(不便に感じているわけではないが)。12インチ液晶でもXGAを超える解像度が一般化しているし、最近はネットブックでもXGA並みに解像度を持つようになってきている。すると、Wシリーズの存在意義が薄れていってしまうというのには、同意せざるを得ない。しかも、価格は相当高い。
さて、もっとがんばってくれ!という願いはごもっともなのだが、どの方向へ進化させるべきか。正常進化というなら、CPU、メモリ容量、HDD容量などは常に半歩先を進むほどのスペックにして、バッテリーの持続時間は延長し、しかもさらなる軽量化を図り、サイズはダウン、という非常に難易度の高いものだ。また、Bluetoothなどの実用性の高いインタフェースを標準装備するという手もあるだろう(地デジチューナーなどは不要)。
使用中のマシンが絶好調でも、「これは欲しい!」と思わせる新モデルの登場に期待するのは、同じである。がんばって欲しい、Panasonic!