「あなたの写真にはメッセージがない!」とまぁ、こんなことをある人から指摘された。そういわれれば確かにそうかも知れないなぁ、漫然と撮っているだけのような気がするなぁ、ということで、こういうときは「基本に帰ろう!」と短絡的に考えてしまうあたりが、私のよいところであり、悪いところでもある。というわけで、書店でたまたま見かけたので購入した新刊2点である。
売り上げランキング: 7631
売り上げランキング: 7346
知っている人が見れば、「お前がこれを買うのか?」みたいな感じだが、まぁ役に立ちそうだと思ったのだから仕方ない。この本は、写真誌「デジタルフォト」の連載の単行本化だ。よくあるパターンだが、連載時に人気があれば、それなりに濃い内容にまとまるのが、こういった本の特徴である。連載中に読んでいた人にも、すべてまとめて読めるというありがたみもあるはずだ。
本は、2巻に分かれている。「基本編」と「構図編」だ。「基本編」では、文字どおり基本的な内容を扱う。「構図編」では、主に構図やフレームワークに関する内容を扱う。前者が本当に基本なのに対し、後者は実践編という位置付けだ。
まず「基本編」から読んでみる。写真の本なのだが、かなり読む部分がある。最近の流行として、文章を読ませずに図解で何とか、いうのがあるが、基本はやはり文章であろう。何名もの写真家が、記事ごとに登場して独自の弁を述べる。最初はやはりセンサー画素数といったところから入るのだが、メインとなる写真家のほかに、数名の写真家がそれぞれ異なった意見を述べているのが参考になる。また、キヤノンやニコンといったデジタル一眼レフカメラのメーカーによる、自社技術のアピール記事も参考になる。各社の技術レベルにはけっこう差があったり、方針が違ったりして意外な発見もある。
「構図編」では、黄金分割の話から始まって、三分割法、二分割法、構図線、交点、といったメソッドの活かし方がメインとなり、あとは鉄道、昆虫といったジャンル別の構図の取り方などが網羅されている。こちらは「基本編」とは異なり、よくない例、よくなった例を交えたより実践的な内容となっている。ある程度カメラの扱いを押さえたら、次はいかに絵を組み立てるかという話になる。漫然と撮っていた風景も、絵作りとして見直した場合には、距離や確度にも気を配るようになる。
ということで、どのように実践されるかは、今後の写真の出来に反映されるのであろう。こうご期待(かな?)。