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八ッ場ダム建設中止問題考

前回の「衆議院議員選挙」からちょうど1ヶ月が経過した。目論見どおり、政権交代となり、首班指名も行われ、組閣も済み、おのおのの閣僚や議員の活動がはじまったかに見える。その中、国土交通大臣に任命された前原誠司は、ムダな公共事業の見直しの一環として、群馬県にある「八ッ場ダム」の建設中止を宣言した。

本題に入る前だが、どうもこの政党の方々は、「国益になる」「国民のためになる」というよりは、「自分のやりたいことをやる」「自分の主張を通す」といったことが前面に出ているような気がするのは、私だけだろうか?

前振りが長くなってしまったが、今回は「八ッ場ダム建設中止問題」を考えてみたいと思うのである。「八ッ場ダム」(「八ッ場」は「やんば」と読む)は群馬県吾妻郡長野原町に建設中の多目的ダムである。最近、ダムといえば「八ッ場ダム」のことばかり取り上げられるので、ムダの象徴のように思われているのかも知れないが、建設中、事業継続検討が行われているダムのひとつだ。

私は、今回の「八ッ場ダム」建設中止問題は、純粋に政治問題として解釈しなければならないと考えている。ここに来て、やっぱり自然保護だ、ダムによって分断される地域交流の問題だ、と言い出すと話が振り出しに戻ることになる。1949年の計画開始から、1994年の工事着工までに長い時間をかけて協議、調整を行い、現在も建設中である。住民の方々の気持ちの整理、中にはすでに移住してしまった人もいるわけで、そういったものをすべてなしにして、「やっぱり中止でしょう」では思慮がなさ過ぎるというほかない。

また、このまま事業を継続した場合のコスト、さらに事業を中止した場合のコスト、中止の場合、建設途中のものをどう取り扱うか、あらゆることを算定、議論しなければならない。また、本当に治水は不要なのか、利水はどうなのか、発電量はどうなのか、そういったこともつぶさに検討せねばなるまい。公約で示したから、だから中止するではいささか根拠に欠けざるを得まい。

ところで、私自身は、10年以上前になるが、この地を訪れている。群馬県は温泉が豊富な土地で、20年ほど前より小野上村(当時)などの自治体が温泉施設を住民に安価で開放してきた。今でこそ前橋市などの都市部に普通に温泉があるので山奥までは行かないが、当時は国道145号線沿いに車を走らせ、各地の温泉に入ったものだ。そのひとつが、長野原町の「川原湯温泉」である。その時点で、ここは将来ダムに沈む、という話を聞いていたので、もったいないなと思ったのを記憶している。

政治問題だから、と書いたついでに与太話を。このあたりは群馬県渋川市や富岡市、吾妻郡、甘楽郡など県の南西部を含む広大な地域で、政治的には「群馬5区」である。群馬5区といえば、故小渕恵三元首相の膝元であり、現在はその娘さんである小渕優子元少子化政策担当相が去る衆議院選挙でも当選し、地元の支持を得ている。群馬4区を除けば、かつての自民党支配から民主党支配に移っており、群馬4区と5区は相当目障りな存在に違いない。

4区は福田康夫元首相で政治的地盤もそれなりで、比例区から民主党の議員も出ている。だが、5区はそうでもないとすれば、いっそのことやっつけてやれという動きがあってもおかしくはない。長野原町役場への執拗な電話攻撃、メール攻撃があったと聞けば、組織的妨害活動の得意な左派団体が、いっちょやってやると活動を起こしたと考えても不自然ではあるまい。

そういえば、同じく中止とされる熊本県の「川辺川ダム」(熊本県球磨郡相良町)も、熊本5区の中にあって、自民党の地盤である。熊本も都市部は民主党の支配に移っており、同様の事情があるとも推測される。だって、岩手県はダムが50基以上もあり4基が建設中なのに、話題にもならないからね。話題にしてもいけないのだろうか、と邪推されてもしようがない。

な~んて書いたら私もバッシングを受けるのだろうか?

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