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【つぶやき】紙がない、インクがない

ひさびさに、仕事がらみのネタです。出版不況と昨年来から言われ続けていて、業界縮小の流れからは逃げられない!電子出版の波に乗り遅れたら生き残れない!とまで言われていたのですが、3.11の大地震でこの流れはすっかり変わってしまいました。

電子出版云々、というのはすっかり鳴りを潜めています。というより、メインの媒体である「紙」が大変なことになっている今、まずここを立て直さないと「電子」に力を割いている余裕などないと思われます。

自動車用の部品が調達できずに、世界各国で減産となっているのはさかんに報道されているのですが、紙が大変なことになっているというのは意外とあまり報道されません。業界最大手の日本製紙の工場が石巻市にあり、壊滅的な被害を受けました。現在、稼働していません。いわき市の勿来にある工場も同様です(こちらは感熱紙だそうですが)。

同じ日本製紙内の別工場、あるいは他の製紙会社によるOEMなどの動きはありましたが、ここに来て紙パルプの漂白に使われる過酸化水素(いわゆるオキシドールというやつです)が足りないということも表面化しました。三菱ガス化学の鹿島工場が被災し、生産をストップしているとか。シェアが非常に高く、漂白用途に限らず不足するのは避けられません。

製紙工場が稼働しても、原材料が不足していては、満足な量の紙は供給されないと思われます。現に、週刊誌、月刊誌の発売が延期されているというのは、ご存じでしょうか?ちょっと前までは流通の問題でしたが、いよいよ製造の段階での理由で延期、ということになりそうです。

さらに言えば、インクもだとか。インクの調合に使う樹脂のロジンが、これまた足りないということです。たとえば荒川化学工業のロジン製造工場はいわき市の小名浜にありました。インク不足は、新聞の薄さに現れています。震災直後はともかく、現状になっても薄くないですか?でもこちらは台湾、中国からの輸入をはじめるとか。

別に出版物に限らず、牛乳パックや商品パッケージも紙によるのですから、紙の逼迫はさまざまな商品の供給に影響を与えるのは間違いない、という感じがします(現に、牛乳が不足していたのは、入れ物がなかったからだ、ということ)。

こういった状況なので、個人的にできるだけ紙の消費を控えるように努力はしたいとしますが…。もちろん、商業的に使用される紙の量と、個人で消費する紙の量など比較にはならないのですが。でも電力同様に、紙の使い方といった習慣を見直す、よい機会かも知れません。

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