さてSAPCOLですが、これには原型があります。
英国のメーカーが採用していた組版言語と同様の思想に基づいており、単純な指令でさまざまな自動化された処理を行えるのが特徴です。
対するモリサワの採用した組版言語は、CORA(コーラ)と呼ばれています。飲むのはCOLAなので間違えないように。
こちらは、米国のメーカーが採用していた組版言語の日本語版です。
ちょっとしたことをするのにも多くの指令を必要とするのですが、逆に組版の自由度は高い、という特徴がありました。
強いて挙げれば、高級言語とアセンブリ言語の違い、そんなイメージでしょうか。
(多分、そこまでは離れていないと思いますが)
SAPCOLでは、ファンクションと呼ばれる特殊な意味を持つ文字を入力し、その組み合わせでさまざまな組版を実現していました。
もちろん、通常の文字も同様に入力でき、以降の文字の組版体裁を変更したいときにファンクションを入力する、そういったシリアルなデータ入力方式でして、HTMLタグのようにある一定のルールに基づき入力された文字が特殊な意味を持つという感覚に近いと言えます。
たとえば、以降の文字サイズを14Qにしたい場合、
[14Q]あいうえお…
といった感じのファンクションを入力します。
ファンクションには100種類以上の文字があり、これらを組み合わせて組版に関する指令を行いました。
ここでは[14Q]などと書きましたが、これは1文字のファンクションです。
半角で5文字入力するわけではないのが、ファンクションの特徴とも言えます。
何しろ、文字を1文字入力すれば、指令が完了するのです。
これは、とにかくスピードが要求される写植オペレータにとってはありがたい仕組みだったと思われます。
今回は、SAPCOLのあらまし、そしてファンクションという命令の指定方法について書きました。次回は、文字はどうだったんだろうということについて書きたいと思います。