いきなり見知らぬ人から、「6時間後にあなたは死にます」と言われたらどうする？
という感じの出だしで始まる、高野和明の短編集、6時間後に君は死ぬ。短編集と言っても、心理学専攻の学生江戸川圭史をアシストにした、素敵な女性たちが主人公の連作。全5話。
ちょっと、というかかなりネタバレになるので、気になる人はこの先に進まないように。ここで帰ってしまう人のために、あなたが男性なら、この本はぜひ読んでみて。きっと、この中の誰かが好きなタイプです、はい。
この短編集のキーマン、圭史。彼は、ある人を前にすると、ビジョンというその人に未来に起きることが見えてしまうという特異体質なのだ。圭史が、見たことをあるときは伝え、あるときは伝えないから、話が始まる。
6時間後に君は死ぬ。この未来は覆せないのかな？半信半疑だった美緒（みお）は、偶然の出来事から圭史の見てことが真実だと思い、自分の未来を覆すための行動を始める。圭史に見えているのは、死への瞬間と、美緒の未来。未来がある？ということは美緒は死なないのか？
時の魔法使い。芽の出ない脚本家志望の未来（みく）。ふとしたことから、未来は小学生時代の自分と出会うことになる。二人で過ごした素敵なひととき。子どものときを好きな私、大人になった私を好きな私。未来（みらい）を変えることは、よい自分も失う可能性のあること。素敵な記憶の連鎖。読後感、最高。ちょっとジブリ的。
恋をしてはいけない日。圭史の忠告を受けたその日、とりとめない恋愛を繰り返してきた未亜（みあ）は悲惨な自動車事故を目撃する。被害者は、未亜の好みとは真逆の冴えない男。そのショックを救ってくれた学生の真吾に、未亜は惹かれ始める。しかし真吾は、ときおり違う態度をとるようになる。混乱する未亜。もしかしたら真吾は真吾ではないのかも…？人を思い図る心とは何なのか？
ドールハウスのダンサー。プロダンサー志望の美帆（みほ）。美帆は、会社勤めなんて幸せじゃないとダンサーを志望した。伊豆にあるドールハウス博物館に、なぜか美帆の経緯を予言したドールハウスがあるという。その博物館に最後に訪れる客とは？なぜそれを予言できたのか？人生の幸せとは、どこにあるのか？
3時間後に君は死ぬ。6時間じゃなくて？これは、6時間後に君は死ぬ、の入れ替わりバージョンだ。知人の結婚式に参列する圭史は、自分が火に包まれて死ぬビジョンを見た。それを助けようとするのが、第1話で6時間後に死ぬと宣告された美緒。未来は変えられる。その信念のもとに美緒は行動する。圭史は助かるが、圭史の見た自分の将来はどのように変わるのか。
美緒も未来も未亜も美帆も一生懸命だよね。皆が「美」というのも愛嬌だけど。で、この投稿を書いている人のタイプは誰なの？という野暮な質問はナシ。だってさ〜アラフィフのオヤジが、タイプだよね〜なんて気持ち悪いよね。ね！