あんなに願って待って一緒になったのに、別れるときはあっという間だね。ほんの数分で2年間の付き合いがチャラになるなんて、ウソみたいだ。でも、君と過ごした2年間は、本当に充実していたよ。
でもね、君も悪いんだよ。何しろ、家にいると、君の姿がほとんど見えなくなるんだ。見えたとしても、弱々しく、薄ぼんやりとしか見えないんだ。さらに言わせてもらうと、君の自慢だったLTEはしょっちゅう3Gになっていて、君にかけている費用を思うと、ちょっと割に合わないよね、とか感じていたのは事実なんだ。
だけど、君のせいだけとも言えないのは事実さ。君の姿がハッキリ見えるように、君の部屋を我がマンションに作ろうとしたんだ。しかし君が嫌いなのか、それとも誰かのために部屋を用意するのが気にくわないのか、反対する人たちがいたんだ。なので、君の部屋は作られなかった。だから、今でも君の姿はぼんやりしたままさ。
ああ、やっぱり、一番悪いのは僕だね。今だから言うけど、1年前から好きな人がいたんだ。でも、君のことを思うと、踏み切れなかった。1年経って、君の方からもういいと言ってくれたんだ。ここで別れても、慰謝料などは請求しませんと。ならば、ということで乗り換えてしまった僕を許してくれ。
君は去ってしまった。だけど、君の面影は、画面の左上にまだ残っているんだよ。これもいつか消えてしまったら、本当に君とのことは過去のものになってしまうんだろう。でも忘れない。いや、またよりを戻したいとか、言ってくるかも知れない僕は最低だ。
そのときまで、君と過ごした2年間が詰まった箱は、引き出しの隅にでもそっと仕舞っておくよ。
ありがとう、そしてさようなら。