MacでParallels Desktopを使うユーザが、Time MachineやTime Capsuleとうまく付き合う最適解は何か?ということを探る連載。今回はいよいよ核心、SmartGuardに入る。このシリーズの前回の投稿はこちら。
Time CapsuleとParallels Desktopの最適な関係を考察(4):「仮想マシンをバックアップしない」とどうなるのか
SmartGuardを有効にすると果たして何が起きるのか?
SmartGuardを有効にするには、上の画面のように仮想マシンの「構成」の「セキュリティ」タブで「SmartGuard」に「使用可能」にチェックを入れる。これだけでもよいが、Time Machineでバックアップするときには、右の「詳細」をクリックし、SmartGuardに対するさらに詳しい設定を行う。
「Time Machine用に最適化」をチェックしておくと、24時間ごとにスナップショットが作成されるようになる。さて、スナップショットとはなんだろう?スナップショットとは、あるタイミングの仮想マシンを保存しておく仕組みだ。24時間ごとのスナップショット作成だと、昨日、一昨日、さらにその前…というように戻ることができる。何か危険なアプリをインストールするぞ!というときにスナップショットを作成しておくと、危険なアプリで仮想マシン全体が飛んでしまっても、それをなかったことにできる便利な仕組みだ。
SmardGuardの「guard」はこれに由来しているんだね。
SmartGuardを有効にしておくと、3回目の投稿で書いた仮想ハードディスクの構造がちょっと変わる。以下は、SmartGuardを有効にした直後。「ターミナル」で直接コマンドをタイプしてみた。
-rw-------+ 1 nao staff 23151509504 12 17 22:09 Windows 7-0.hdd.0.{2fa252cb-3bfa-42c5-b9e8-68b6405c2751}.hds -rw-------+ 1 nao staff 786432 12 17 22:09 Windows 7-0.hdd.0.{5fbaabe3-6958-40ff-92a7-860e329aab41}.hds
同じ更新時間を持つ拡張子.hdsのファイルが2つできている。大きい方はやたら大きいが、もう一方は700KB台とコンパクトだ。ここで、仮想マシンを起動し、すぐに終了して同じようにファイルの情報を見てみると…。
-rw-------+ 1 nao staff 23151509504 12 17 22:09 Windows 7-0.hdd.0.{2fa252cb-3bfa-42c5-b9e8-68b6405c2751}.hds -rw-------+ 1 nao staff 133431296 12 17 22:47 Windows 7-0.hdd.0.{5fbaabe3-6958-40ff-92a7-860e329aab41}.hds
大きい方のファイルのタイムスタンプもサイズも変わっていないが、小さい方は変わっている。しかもサイズが大きくなっている。130MBと大きい。コレは何を意味するかというと、大きい方のファイルはTime Machineで一度バックアップされれば二度と(変更されない限り)バックアップされないが、小さい方は内容が変わる(=仮想マシンが動く)たびにバックアップされるということ。
すなわち、Time Machineによる仮想マシンのバックアップ量を小さくできるのだ。ちなみに彩度スナップショットを作成すると、ファイルが増える。
-rw-------+ 1 nao staff 23151509504 12 17 19:09 Windows 7-0.hdd.0.{2fa252cb-3bfa-42c5-b9e8-68b6405c2751}.hds -rw-------+ 1 nao staff 786432 12 17 20:02 Windows 7-0.hdd.0.{5fbaabe3-6958-40ff-92a7-860e329aab41}.hds -rw-------+ 1 nao staff 133431296 12 17 20:02 Windows 7-0.hdd.0.{73924984-2bce-4e05-8f23-c96ad043e9d1}.hds
さらに小さいファイルが作成されるが、ほかの2つのファイルのサイズは変わっていない。つまり、スナップショットの作成では、大きな単一のファイルが更新されていくのではなく、小さいファイルを作り、そこに変更を収めるようにするのだ。これによってバックアップを容易にして、しかも万が一のクラッシュの際の被害を最小限にできる。
仕組みとしては素晴らしいものだが、どうやってもバックアップ量をゼロにはできない。仮想ハードディスクのサイズが大きいと、切り離したファイルのサイズもそれなりになる。今回は20GBほどの仮想ハードディスクの例だが、日々使っているWindows 8の仮想マシンは200GB近い。こうすると、軽くギガバイト単位のファイルがバックアップ対象になると想像できる。
なので、この連載の結論としては、SmardGuardでスナップショット作成を有効にしつつ、ある程度の容量のバックアップは許容する必要があるというものだ。仮想マシンの性質上、ファイルの内容が変更されないことはあり得ない。何しろ、仮想マシンのほとんどがOS Xから見た単一のファイルなのだ。その一部でも変更されたら、それはバックアップ対象にするしかないのだ。
そのために、バックアップ量を最小化するSmardGuardの意義があるのだ。このへんの仕組みや事情を理解しつつ、上手にParalles DesktopとTime Machineと付き合いたい。