里山とは何でしょうか?文字どおり、人の棲む里と、山を隔てるための緩衝帯、そういう位置付けが里山ということです。里山は、人の勢いが山に及ぶのを抑え、山の生き物が里に下りてこずに棲むような働きをしているそうです。そんな里山は、人間にとって山の自然を身近に感じさせてくれる、貴重な存在でしょう。そんな里山のすべてを図鑑形式でまとめたのが、本書です。
里山図鑑は、大きく四季に分け、昆虫、草花、樹木など、里山で見ることのできるものを広く写真付きで紹介、説明してくれています。単純に図鑑形式で四季のものを紹介するのに留まらず、テーマを切って四季折々で見ておきたいもの、そういったものを紹介してくれています。たとえば、春なら桜、夏ならセミ、秋なら紅葉、冬ならロゼット、そんな具合です。一種のストーリー仕立てにも見えますから、本書を最初から読んで、頭の中で四季折々の風景を想像し、組み立ててみるのも楽しいでしょう。
私がこの本を買ったのは、もちろん自分が図鑑として使いたい、その内容の雰囲気に触れたい、というのもあったのですが、部屋の中に何気なく置いておくことで、この本を子供達にも手にとって欲しいという気持ちがあったからなのです。手に届くところに本があれば、子供は興味を持って見ることを始めます。最初は何気ない興味でも、別に継続しなくても、何か別の世界のことを知るには本は格好の存在と思っていますので、普段接することのない自然に何か興味を持って欲しい、という願いもあります。案の定、常日本は居場所を変えていますから、誰かが読んでいるのでしょう。
里山の風景は失われつつある、という話はよく聞きます。里山の機能は昔ほどはっきりとしたものがないのだとしても、里山にいるときの心のざわめき、目に入る風景の何とも言えない懐かしさは、里山を消し去ってはいけないと心の中で話しかけてきますが、これは都会に住む人間のわがままなのでしょうか…?
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