ある平日、お昼を食べて遠回りして仕事場に帰ろうかという帰路のこと…。歩道もない一方通行の坂道を、下ってくる親子連れがいました。幼稚園に入るか入らないかという年頃の男の子と女の子、そしてお母さんがベビーカーに乗せた赤ちゃん。つまり、お子さんを3人連れたお母さんという一行ですね。いくら都心でも、こういうのは別に珍しくもありません。近くに公立幼稚園もありますから、なおさらでしょう。私は、この親子に正面から近づき、そしてすれ違うのですが…。
すると、私から見て前方、親子から見て後方から、一台の車が近づいてきます。「車よ!」のお母さんの声にきゃっきゃ言いながら反応し、左右に分かれて道の端に寄り、やり過ごす男の子と女の子。じっと動かずに目だけきょろきょろして車をやり過ごそうという様は、かわいいものです。そのうち車も通過し、きょろきょろと周りを見ながら駆け出すのですが、実はそのお母さん、男の子と女の子が動かないでいる間も、普通に歩いていたのでした。ですので、車が通りすぎたころには、かなりの間隔が親子の間にできてしまっていたのでした。
するとお母さん、追いついてくる二人を見てすかさず、
「あなたたち、一定速度で歩きなさい!」
と曰いました。そうだよな、一定の速度で歩かないと、間が空いてしまうものな、って「一定」の「速度」ですか?ずいぶん難しい言葉をお使いになるんですね、ですが相手はまだ幼稚園前…。でも、その二人、お母さんの言葉を聞いてすかさずダッシュして追いついてきました。多分、普段からこのように言われていて、言葉の意味はしらねども、言わんとしていることは理解しているのでしょう。
他にも、「一心不乱に食べなさい!」とか、「可及的速やかにトイレを済ませなさい!」とか言われてるんでしょうね。言われてないか…。でも、妙におかしくてにやついてしまった私でしたが、変なおじさんではないですからね、念のため。
コメント
たぶん、一定速度で人の波の中で生きていくためには、必要なのかもしれません。その時自分だったら、どうするかな?と考えました。寄った壁にへばりついていないふりするとか・・・
一定速度で、反対側に逃げるかも知れませんね、私なら。