昨日に発生した、「東北地方太平洋沖地震」で被害に遭われた方には、心よりお悔やみ、お見舞い申し上げます。報道で次々と明らかになる被災地の状況を見るに、発する言葉が見つかりません。また、原発の状況も、予断を許さない状況が続いています。
昨夜は、電車が動かず帰宅待機になっておりましてずっとオフィスにいましたが、不明だった家族の安否も確認し、停電も回復、電車も動き始めたということで、深夜に無事帰宅となりました。
安否確認のメールなどをお送りいただいた方、ありがとうございました。
今回は、震源地から離れている場所でも、直接的な被害はない替わりに生じる「都会特有」の問題、たとえば帰宅待機、通信インフラの有能・不能について感想を書いてみたいと思います。
大揺れが来た際には、港区にある5階のオフィスでいつもどおりの作業をしておりましたが、徐々に大きくなる揺れとともに周囲には悲鳴のようなものが聞こえ、デスクの上のものは落下して散乱し、書棚の本も崩れ落ちるなど、「これはもしかして駿河湾か相模湾か?」とまで思ってしまった次第です。
揺れも少し収まったところで、スタッフにまず建物から出ることを指示します。パソコンなどは放置して、大事なものだけ持って外に出ます。すでに、外は各オフィスから避難してきた人たちでたくさん。皆が皆不安な面持ちで、携帯やスマートフォンを操作しています。私も、家族が気になったので電話、メールと試しましたが、無理でした。
こういうときは、やっぱりラジオです。そして、テレビです。ワンセグ対応の携帯や、ラジオで情報を確認します。ワンセグはハイテクですから、ここはラジオでしょう。音声のみ、非常にプリミティブなメカニズムで動くので、ものによってはエネルギーさえも不要です。最近、手巻き充電式のラジオもありますので、必須と思いました。これで、宮城沖、震度7という事実を確認できました。
近くのビルでは、ガラスが割れて落下し、周囲が通行止めになったりしています。
スタッフ全員の無事を確認し、余震も落ち着いてきたところで、家に帰る者、職場に戻る者と、各自の判断で動くように決めます。この間、携帯とスマートフォンはほとんど機能していません。ドコモ、ソフトバンク、キャリアにかかわらずダメなようでした。
私は職場に戻ります。家族が心配ですが、どうにも連絡がつかない今、下手にいつもの場所を変えない方がよいからです。余震の続く中、とりあえず散乱したものを修復しようと作業を始めましたが、なんとネットワークが使えないことが判明しました。さっそくネットワークルームに飛びましたが、何とドアが開きません。こぶし2個分くらいは開くのですが、何かに引っ掛かっているようで、そこから先はびくともしません。
そこで誰かが「鏡」を貸してくれます。そうか!壁に立てかけておいたものが倒れて、それがつっかい棒になっているようです。トイレで閉じ込められる状況と同じです。背の高い細身の彼が体と腕を差し入れ邪魔ものをどかし、ドアを開けることに成功します。ネットワーク不通の原因は、何と「スイッチングハブの電源プラグが抜けていた」です。揺れるうちに、抜けてしまったのでしょう。それぞれの機器は無事でしたなので、こんなことでもネットワークは使えなくなるのです。
電源を入れ直したら、ネットワークは復旧しました。混雑のせいかレスポンスが悪いのですが、各ポータルサイト、ニュースサイトも見ることができます。Twitterも見ることができますので、タイムラインに流れるすさまじい量の情報を見ることができます。私の場合、基本的にはTwitterのタイムラインで気になったツィートをチェックし、各Webサイトをチェックするようにして情報を取得し、同じくオフィスに残っている者にフィードバックしました。
この間、携帯電話、スマートフォンは、通話、メールともに全滅です。ですが、オフィスの固定電話が鳴るので、どこからかはかかってきているのですが、それはほとんどが都内の業者です。反対に、固定電話から県外に電話をかけようとしても、混雑でかかりません。それでも、23区東部、千葉県と連絡が取れ無事を確認します。神奈川方面、北関東方面はダメです。少なくとも23区内では、固定電話が使えるということがわかりました。
また、帰社した営業マンが、ウィルコムのPHSで通話しているのを見ました。ユーザ数が少ないのか、それともISDN網を使う特性か、PHSはこういうときに意外と使えることが判明しました。
これは直接見たわけではないですが、auのスマートフォンを使っているスタッフが、簡単に家族とコンタクトできたという情報もあります。
職場の固定電話を使い、神奈川の自宅に何回かコールを試みて、奇跡的につながりまして状況を確認しますと、停電しているという事実が発覚します。さっそく、東京電力のWebサイトを見ますと、極めて広範囲で停電が起きている模様です。信号機も作動していないとかで、真っ暗な中大渋滞が続いているということでした。このとき、着信はできるが、発信はできないということが判明しました。さらに、家族のひとりが都内に出ていて、同様に連絡が取れていないことが判明します。
同僚に話をしますと、「うちはIP電話だから停電でまったく無理!」ということでした。経費削減で、インターネット接続と電話とテレビを同じ業者で契約していたら、停電で全滅したということらしいです。インフラの分散は、やはり必要なのだと感じます。
職場では、電気と水が普通に使えましたので、ネットワークで情報を確認しつつ、今後の展開を練ることができました。このとき、効果的なのはやっぱり固定電話でした。携帯メールなどは、3時間ほど経ってまとめて到着したり、結局使い物になりません。替わりにPCメールは普通に使えて、相手も同様であれば連絡は密に取れる、そういう状況でした。
結局、固定電話から携帯電話に通話可能なことが発覚し、それで消息不明だった家族とのコンタクトにも成功し、無事を確認したところで鉄道の運転再開に合わせて私も帰宅の途につくことができました。結局、自宅に着いたのは午前2時も過ぎていましたが、職場に泊まることを考えていましたから、非常によく事態が回転したと言えましょう。
今回、もっとも有効でしたのはラジオ、固定電話、そしてインターネットです。携帯電話系は、ほとんど有効に活用できませんでした。電池や手動発電で使えるラジオ、線がつながっていれば使える固定電話、そして経路がある限りは使えるインターネットなど、プリミティブなものほど災害時には有効だと思いました。反対に、ハイテクを駆使したものは、意外とこういうときには脆いという感想も得ました。
これは通信とは関係ないですが、火は意外と盲点です。停電でろうそくを使おうにも、喫煙習慣のない我が家ではライターがなく、着火器具もたまたま壊れて廃棄したあとでした。最近のガスレンジは、電気が通じていないと使えません。結果的には、ガスカセットコンロで火を得ることに成功!ということですから、これがなかったら火も使えないことになっていました。ここも、プリミティブなデバイスが必要、ということなのでしょう。
コメント
ご家族様ご無事でなによりです。
地震直後ある程度は予想できましたが、
ちょうどその日はお世話になった方のお通夜の役員でしたので、
室内めちゃくちゃの中、家をあとにしました。
帰宅後TVで次第に判明する震災の規模を目にし、愕然としました。
被害に遭われた方々にはお悔やみ申し上げます。
我が家でも過去最大級の室内(荷物)雪崩で、
途方に暮れておりましたが、家も命も無事なので、
負けずに頑張ります。
Nさん、ありがとうございます。
この程度で済んだ我々は、節度を持った生活でインフラへの負担を抑えつつ、元気にいつもの生活に戻る、ということが必要とされていると思います。
私は、自分に直接関係のない地震関連の話はやめて(思うこと、書きたいことはたくさんありますが)、いつものような与太話にあえて復帰します。
先ほどはコメントありがとうございます。
今回は本当に携帯が駄目でしたね。自治体の災害情報メーリングサービスに加入しているんですが、いまだ1通もきていません。まあ、今回程度では該当しないのかもしれないのですが。本当に、こんな時は単純な機構のものが役に立ちますね。
仰るとおり日常に戻ることは重要ですね。日常に戻れる我々は、日々のやれることをやる。今夜も節電です。
小鉄さん、ありがとうございます。
明日から輪番停電が始まるようですが、我が家でもできるだけ一緒の部屋に集まり、暖はこたつだけという生活です。日頃の緩みを見直すよい機会かも知れません。
停電で電車は動くのか、オフィスはどうなる、とかいろいろ心配です。