「三匹のおっさん」無法に立ち向かう!

ちょっと前に、知人に起きた出来事なのだが…。彼は自転車で車道の左側を走行中、正面から来る自転車(つまり逆走)に気付き、やんわりと注意したという(危ないからね)。すると相手の男がなんと逆上。彼は暴力を振るわれ、結局手術入院する羽目になった。当然、警察沙汰になったが、犯人(ホシ)は今になっても挙げられず…。

世の中、理不尽なこと、不埒な輩が横行するが、そういったものに直面したらどうするか? 彼のように果敢に立ち向かうか、それとも見て見ぬ振りを決め込むか。果敢に立ち向かっても、彼のように大怪我をすることもある。下手すれば殺されてしまうかもしれない。だからといって知らぬ存じずを決め込むか。

あなたならどうする?

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のっけから重くなってしまったが、要は本のお話。現実では難しいが、お話の中でなら、このような輩にビシッと天誅を加えて、すっきりできるというもの。ということで、オススメの本が有川浩「三匹のおっさん」「三匹のおっさん、ふたたび」である。TVでドラマ化もされていたので書店での露出も多く、見たことある!という方も多いのではないだろうか?

主人公は、アラカンの3人のおっさんたち、タケ、ヤス、ノリである。タケは剣道の達人で人格者、ヤスは柔道の達人で熱血漢、ノリはメカに強い知性派。それぞれ得意領域も性格も違う3人のアラカンオヤジ(「おっさんより」は、「オヤジ」の方がしっくりくるのはブログ主が関東人だからか?)が町内の事件やもめごとに対峙し、見事に解決していくというのが大筋。短編としてそれぞれ7話ずつ、計12話楽しめる。

ネタバレになるので、内容紹介はほどほどに。相手は、恐喝、痴漢、詐欺、悪徳商法、万引き、放火のような犯罪だけとは限らない。学校トラブルに不倫もどき、色恋沙汰にパート先トラブルなど、誰にでも身近にあるような出来事まで。三匹は結束し、ときには孫や娘の協力を得ながら、大捕物を繰り広げる。これが中には身内の事件というものもあるが、事件によって人がいい方向に変わったり夫婦や家族の結束が強まったりする。

時代劇の勧善懲悪的なノリを楽しむのもいいが、このお話の本質は、アラカンのオヤジどもが、まだまだ俺たちはやれる! 俺たちのようなポジションの人間にしかできないことをやろう! という同世代へのハッパなのかと。還暦になるまで積み重ねてきたもの、そしてまだまだ可能性のある未来。実は、非常に美味しい世代ではないのかというのがアラカンだ。

最後に!冒頭の知人から、くれぐれもお願いと念を押されたことを列挙して、締めくくりに。このお話の三匹は時折やり過ぎじゃないかと思うが、それはあくまでもお話だからいいのだ!

「良い子の皆はマネしないように」
「後悔はしてないけど、周囲に心配迷惑をかけたことは反省している」
「なので同じ状況に遭遇してもまた注意する。けど危ない人だと気付いたら深入りしないようにする」

要は、相手を見て引き際をわきまえる、結果として自分の身は守る、それが周りの人のためでもある、ということだな。ブログ主も下手すれば暴走するので、十分にわきまえないと。

三匹のおっさん (文春文庫)

三匹のおっさん ふたたび (新潮文庫)

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