今回は、テキスト入力について書いてみたいと思う。実は、私の最もこだわっているのはここで、ATOKが搭載されているから[es]にしたということもあるのだ。入力そのものにストレスがなく、よけいな入力を必要とせずにテキストをどんどん入れていける、そういうものを望んでいたのだが、果たしてどうなのだろうか?この点を、「文字入力デバイス」という観点と、「日本語変換ソフトウェア」という観点で、まとめてみたい。
まずは、「文字入力デバイス」としての[es]である。[es]では、単に文字を入れるにも、大きく分けて3つの方法を選ぶことができる。
- ダイヤルキー
- 文字入力パネル
- キーボード
まずは、携帯電話でもおなじみの「ダイヤルキー」による入力である。何だかよくわからない場合には、この方法を使えばいい。今まで携帯電話を使っていた人も、この方法なら入っていきやすいだろう。文字種の切り替えも[文字]キーを押すというわかりやすい方式である。ただ、携帯電話によく装備されている「2ストローク入力」は使えないようだ。実は私は「2ストローク入力」の愛用者なので、1文字の平仮名を入れるにもついつい2回の違うキーを押してしまい、「い」を入れたいのに「あ」「か」と入れてしまうことがある。
*「2ストローク入力」とは、ローマ字のように「子音」+「母音」という組み合わせでひらがなその他の1文字を確定させていく方式。1文字を入力するストローク数が一定に近いので、比較的リズミカルに文字入力できる(はず)。
次は、「文字入力パネル」だ。せっかく[es]を使うなら、ペンによる入力も試してみたい。「文字入力パネル」とは、ペンで文字を入力していく方式である。方式は4種類ある。
- ひらがな/カタカナ
- ローマ字/かな
- 手書き検索
- 手書き入力
画面下端のステータスエリア中央にある「あ」の右にある小さな▼をタップすれば、文字入力パネルの方法を切り替えることができる。前の2つは「キーボード入力パネル」、後の2つは「手書き入力パネル」である。「キーボード入力パネル」は、いわゆるスクリーンキーボードだ。スクリーンキーボードとは、画面に擬似的なキー配列が出てくるので、そこをタップして入力するというものだ。手書きより確実で、ダイヤルキーのようないらいらがないので、けっこう使える。いわゆるかな入力、ローマ字入力の使い分けができるが、かなの配列も50音順なので、ローマ字入力のメリットはあまりないように感じられる。ローマ字入力は、むしろ英数字の入力に適していると思っている。
「手書き入力パネル」は、ペンで文字を実際に書き込み、平仮名を書いて変換させたり、漢字をそのまま書いて入力できる。「手書き検索」と「手書き入力」のふたつがあるが、前者は1文字単位、後者は複数文字入力可能、といったほかに、どうもこのふたつの方式の根本的な違いがわからない。マニュアルを読めばわかるかも知れないが、できるだけマニュアルは読みたくない。誰かわかる人がいたら教えて欲しい。
手書き入力では、簡単な漢字はそのまま書いてしまい、画数の多い漢字は仮名から変換させると効率的だ。ただ手書き入力は、かなりもたつくときがあり、書いても認識されないか、時間が経って認識されることがある。手書き入力の認識では、形状のほかに書き順が大きなファクターになっているので、あとから線を書き入れても、まったく違う文字に認識されてしまうことがほとんどだ。さらに、平仮名を入れて変換させようとすると、誤認識があったときには最悪だ。間違った箇所まで消し、もう1回書きなおすなど、効率の悪いことになる。なので私は、書いた文字がどのように認識されたか1文字ずつ確認し、積極的に確定させる、という方式を採っている。マスの左か上に、認識された文字の候補がずらっと出るので、その中からお目当ての文字をタップしてしまうのだ。「り」と「リ」など、手書きでは識別しにくいものはそうした方がタップ数は多くなるが、ストレスは少なくなる。
最後は、引き出し式のキーボードだ。[es]もそうだがW-ZERO3シリーズではQWERTY配列のキーボードを利用できることが、大きな特徴となっている。普段は引っ込んでいてその存在はわからないが、ずると引き出せば、キーボード搭載のPHS機に早変わりする(最初からそうなのだが)。PCでキーボード入力は任せろ!という人は、このキーボードを使うと素早く文字入力ができるかも知れない。「知れない」と書いたのは、いかんせん、このキーボードは「小さい」ということだ。小さいのは仕方ない。本体より大きなキーボードを装着するなどナンセンスだからだ。また、普通のキーボードのように机などに置き、ブラインドタッチすると言うほどの安定感はないので、両手で抱えて親指で押していく、といった感じになる。だから、一般的なキーボードの操作性とはだいぶ異なると思っていた方がいい。
これらの入力方法を、シチュエーションで使い分けるのが、賢い使い方といえるだろう。すべて一長一短あるので、状況に応じて使い分けたい。電車内で立っているといったときは片手しか使えないので、ダイヤルキー入力が適している。入力スピードは(私だけかも知れないが)最低となる。私はこの入力方式にどうしてもなじめないのだ。電車内で座れたときや喫茶店でお茶でも飲んでいるときには、引き出しキーボード、パネル入力、どちらでも使えるだろう。パネル入力は、最近「DS」とかいうタッチパネルを持つゲーム機が売れているおかげか、さほど奇異な目で見られなくなった。隣の席のネーチャン・アンチャンが「DS」で「脳を鍛えて」いる脇で、必死に[es]でレポート作成をしていても、違和感がないわけだ。これに対して引き出し式キーボードは、かなり目立つ。いや、相当目立つ。[es]のような携帯電話のようなものから、いきなりキーボードが現れ、画面は横になり、両手で抱えて文字入力をはじめるのだから、ノートPCをバッグから出して何かを始めるくらいの注目は浴びる。なので、どうしても自宅やオフィスなど、他人の存在が最小限であるような場所で使うことになる。要は、慣れの問題なのだが。
さて、「日本語変換ソフトウェア」としても見てみたい。
日本語変換ソフトウェアにATOKを選択している場合には(これが規定値)、ATOKの「推測変換」機能が利用できる。推測変換とは、平仮名を途中まで入れていくと、その段階で候補を判断し、あらかじめ入力候補に出してくれている、という機能だ。少ない入力で目的の語が入力できるという優れものである。また、いちど確定させた語は覚えていて、次回は候補の上の方に出してくれる。推測変換機能はSH901iSなどの携帯電話にもあるが、候補の選択が今ひとつというか実用性が低く、今ひとつ役立っている感じがしなかったが、ATOKの場合はバランスよく候補に語が出てくるといった感じだ。
推測変換機能のいいところはそれだけではなくて、ある語を確定させたときに、次に入力すべき語までを「何も入力しない段階」で候補として示してくれるということもある。典型的な例として、「~します」と確定させておくと、次には「。」が候補の先頭に出ているから、これをそのまま選べば句読点の入力も楽々というわけである。これは、ダイヤルキーによる入力の際にかなり便利だ。ダイヤルキーでは、句読点の入力には複数のストロークを必要とするので、候補から選択して確定という流れはありがたい。
コメント
ATOKをキーボードで利用するとき、パソコンのように注目文節の移動を下矢印でできないので不便です.そう思いません?
それとも設定で変えられるんでしょうか?
ATOKの下矢印は、注目文節の候補を確定させてしまう機能じゃなかったでしょうか?MS-IMEでは、変換候補の呼び出しになりますね。私の知る限り、ATOKが注目文節を自由に移動できるようにはなっていない気がします(文節の範囲は←→で変えられる)。それとも、キーカスタマイズで変えられるのでしょうか?(逆に質問してどうする)
[es]では、ATOKが標準になっていますが、MS-IMEに切り替えれば、一般的なパソコンと同じような操作性になるのではないかと思っていますが、いかがでしょう?