今さら読んでるの?などと言われると職業柄つらいのだが、改めて読んでみると、かなり前から話題になっている「Web 2.0」というキーワードを理解するのに、その基本をよく書いてくれている名著と思う。雨後の竹の子のように「Web 2.0」本がたくさん出たが、どれも結局はこの本を何らかの土台にしているような感じで、どうも新鮮な感動に欠ける。なので、今、「Web 2.0」というキーワードについて知りたい、と思ったら、まずはこの本を読んでみることをお勧めする。
「Web 2.0」そのものに興味がなくても、最近よく聞くキーワード、たとえばGoogle(グーグル)、Amazon(アマゾン)、ブログ、Wiki(ウィキ)、ロングテール、オープンソース、こういったものについて知りたいと思ったら本書は有効だ。というか、「Web 2.0」という概念を具現したものがこれらとも言える。
この本に書かれていない(時期的に無理)ものに、YouTubeがある。YouTubeとは、投稿型の動画サイトで、世界中の不特定多数の人たちが投稿する動画を、これまた不特定多数の世界中の人たちが視聴できる仕組みだ。これも、集合知の一種といえる。最近、Google社によってYouTube社が買収されて、さらに話題となった。YouTubeは著作権問題とシビアに向き合わねばならないが、アンダーグランドな要素が除去されれば、インフラとして非常に魅力的に成り得る可能性を持っている。企業の広報手段としても有効だ。何しろ、一時期もっとも見られていた動画は、ソニーの液晶テレビのCMだったのだ。
個人的には、10代という最も感受性に溢れるときに受けた洗礼が、その後の人生においてコンピュータ社会、ネット社会に与えるインパクトと無関係ではない、という下りに興味がある。PCという個人用のコンピュータに感銘を受けたビル・ゲイツ、そしてインターネットという通信インフラに感銘を受けたGoogle創業者の二人、という具合である。では、現在のように「Web 2.0」時代としてGoogle検索や膨大なブログ、SNSというコミュニケーションツール、そして携帯電話が当たり前という時代に育つ今の10代は、その後どのような花を咲かせてくれるのだろうか?
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