もう20年以上も前(1983年)に白泉社の「ララ」に連載されていた、サッカーコミックのことを書きたい。少女漫画にサッカーという取り合わせも当時としては異色だと思うのだが(何しろJリーグなどというものはまだなかった)、さらにプロリーグを舞台にしているところがスゴイ。作者はサッカー好きだそうだが、今のサッカーの盛り上がりを見ると、先見性があったのだな、と思う。
このお話は、18歳のジャングル出身の少年アドル(アドリアン・アレクシス)が、南米某国「エスペランサ」のプロチーム「ヴィトーリオ」ににスカウトされてから人間的に成長する様を、魅力的な登場人物と繰り広げられるサッカーのゲームあるいは日常を通して語るというものだ。サッカーのゲームはともかく、魅力的な登場人物というのが肝である。少女漫画なので、異様にキレイなおにーちゃんやカッコいいにーちゃんがたくさん登場する。だが、双翼を担うはずのキレイなおねーちゃんやかわいいねーちゃんはほとんど出てこない。本当に、数えるほどしか出てこない。
作中に登場するサッカー選手は、キレイな男ばかりだ。少なくとも、ブサイク(失礼)やデブ(これまた失礼)に属する方々は「一切」登場しない。脇役も、すべて「キレイ」なのだ。たいていの少女漫画には、美少年・美少女・美青年・美女、といったきらびやかな方々の中に、「息抜き的に」崩れた方々も存在するのだが、そういうのが一切ないのだ。あの耽美さを誇る「やじきた学園道中記」(市東亮子・月刊ボニータ・秋田書店)でも、そういうのはいる(例:コミックス27巻に登場する、一ヶ月もののハンカチを武器にする男生徒など)。こうなると、すごいことだ。しかも、皆人間的に素晴らしいのだ。美しく、才能があり、努力家で性格もいい。ここまできたらとことんやってくれというわけで、実際にその期待に応えてくれている。
だが、そんなお話なら私は興味ないし、わざわざ文庫版を購入してまで読まないのだ。このお話の傑出したところは、そんなキレイな男たちが繰り広げる、変態的な技、おかしなやりとり、それに尽きるだろう(特にゲーム中の「秘技」は、「三年奇面組」「ハイスクール奇面組」(新沢基栄・少年ジャンプ・集英社)の影響が大きいのではないかと勝手に思っているのだが…)。これはギャグマンガなのか?否、ストーリー漫画だろう?いやいややっぱりギャグだろうと、賛否両論分かれるような微妙な位置付けである。それでも、絵はキレイで、ストーリーはきちんとできあがっているし、シリアスなシーンもバッチリだから、ギャグはスパイス的な位置付けとして挿入されているのだろう。ただ、ほとんどシリアスのない回もたくさん存在したと思われるが…。
さて、私はこのお話のキャラで言えば誰タイプか?と尋ねてみたら、ライバルチームである「サルバドール」のマルロという答えが返ってきた。果たしてマルロとはどういう人物か…。それは読んでのお楽しみ。外見や才能はともかく、性格がそうなんだそうだ。そうか、ややこしいのか…。
コメント
マニアックですな~。かわみなみとはw
シャンペン・シャワーの少し前くらいから、私はヲタから足を洗いつつあったので、
この作品は読んでないのですが。
この作者の『ノストラ探偵団』は傑作でした。
信じられないくらいのバカバカしい、超勢いのあるギャグは最高に笑えましたねw
当時の少女漫画は百花繚乱時代ではありましたが、少女漫画界に{オジサンの筋肉美}というものを表現できたのは、かわみなみと青池保子くらいなものだったろうと・・・。
ヲタ心を刺激され、シャンペン・シャワーも読みたくなりましたね。
あ、つけたしですが、わたくし『黒もん』のネタにも反応しましたw
kanaさん、どうも。
この手のネタになると、書いて下さるようですね。
「ノストラ探偵団」ですか、これも懐かしいです。さっそく探してみましょう。
おじさんの筋肉美、青池保子、こっちも好きなんですよね。どこかで書きましたが…。いや、別に筋肉が好きなわけじゃありませんが、こういったノリが好きなんでしょうね。
文庫の黒もんは、終盤のキリスト・ブッダと悪魔・鬼のタッグ・マッチが収録されていないので、不満です。そう言えば、同じ作者の「県立弥陀仏高校」も好きですね。
シャンペン・シャワーの作中でジョゼが暗闇の中で黒もんを読んでいるのには笑えます。
またマニアックなネタを提供しますね。