これは面白い!と言えるSF作品はあまり多くないのですが、間違いなく勧められるのがJ.P.ホーガンの「星を継ぐもの」「ガニメデの優しい巨人」「巨人たちの星」の三部作でしょう。このうち、「星を継ぐもの」が星野之宣によってコミック化されました。これは読んでおかねば、とさっそく第1巻を入手した次第です。
「星を継ぐもの」はあまりに有名なので、あらすじの説明は不要でしょう。それでもあえて書いておけば、「月面で発見された、死後5万年を経過した遺体。旧石器時代に月に到達した、この人物の正体は!?」ってことです。って、オビのコピーまんまではないですか。
チャーリーと呼ばれることになるこの謎の人類に、残された遺品から真相を解明すべく全世界の頭脳が結集されます。主人公は、英国の科学者であるハント博士。ハント博士を中心に、次々と謎が解かれていく様は一種のカタルシスです。
原著を読んでおくと非常に楽しめると思うのですが、私自身はJ.P.ホーガンが亡くなったときに改めて一読しました。なので、もう1年以上は経っていますね。ストーリーは、大枠は覚えていますが、細部はおぼろげな感じ。そういう状況で読んでみると、コミック作品は、果たしてどんな感じなのでしょうか?
ちなみに、星野之宣という漫画家の作品は、基本的に読んだことがありません。一度読みかけて、あまりの難解さに挫折しました。笑
オープニングから悩みました。果たして、こんなスタートだっただろうかと。人類の祖先の話か、そんなので始まっていたかな、と。
小説をコミック化するときの難しさといいますか、そのままだと面白くも何ともない絵になりがちです。また、文章で数行で表されていることを絵にすれば、どれほどのコマ数を必要とするかわかりません。
そこで、多少(大きな?)のアレンジを加えて、絵として面白くする、そんな工夫が感じられます。もしかしたら、オリジナルそのままなのかも知れませんが、「え?ここってこういうのだったっけ?」と思っても、記憶がおぼろげなのですから、どっちが正しい?などと言えません。
ハント博士が英国人科学者っぽくないとか、秘書が意外と清楚だとか、生物学者が禿げているとか(個人的にアインシュタインのような風貌を期待)、司令官って女性だったんだ?とか、あのスエーデン人はこのときにすでに登場していたかとか、気になる点は山積みなのですが、お話としては非常に面白いものです。
なまじ、はっきりとした記憶があったら、そんなことばかり気になって、楽しめないかも知れません。いや、むしろ、違いがはっきりしていれば、まったく別のお話として楽しめるかも、です。う〜ん、どっちなんだよ、と言われそうですが。
やはり、あの長大なお話をコミック化すれば、それこそ何十年も連載が続くのではないかと思いますが、うまいようにいろんなところがつなぎ合わされて、端折られて、まったく別の作品となっていると思った方がよいでしょう。
私としては、謎解きとして面白い部分、そしてもっともページ数を食うであろう部分がなくなっていたのは物足りないです。酵素に関する話、文字(数字)の解読など。それなりにサイエンスの素養がないと楽しめない部分ですが、このシリーズの面白さはそこにあるのですから、できれば端折らないで欲しかったですね。
さて、ホーガンは天国でこの作品を読んでどのように思っているでしょうか?「なかなかやるなぁ」でしょうか。それとも…?
コメント
これ、確かに面白いですね。週刊コミックで読んでいるのですが、
原作があることを初めて知りました。
ハキハキさん、こんばんは。
原作があるのですよ。
昔、原作と作者について書いた記事があるので、よかったらご覧ください。
http://naosan.way-nifty.com/blog/2010/07/j-p-050e.html