土用の丑の日、ウナギを食べる?

7月29日は土用丑の日。言うまでもなく、ウナギの蒲焼きを食することが多い日で、スーパー、コンビニ、デパ地下などの小売をはじめ通販でもこれでもかと売り込んでいる。我が家でも、家に帰れば食卓にウナギがサーブされていることが多い(今年は違ったが)。何となくという気持ちで食うのは申し訳ないが、美味しいので食べてしまう。

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でも果たしてこれでいいのかな?

ニホンウナギがIUCNによって絶滅危惧種(レッドリスト)に指定され、この影響を受けるワシントン条約によって国家間の輸出入が禁止される可能性があるのだ。日本で食用に提供されているウナギの多くは中国産で、このウナギはヨーロッパウナギという別の種類だ。

しかしながら、このヨーロッパウナギも、とっくに絶滅危惧種に指定されており、EUでは輸出を禁止している。その甲斐あってか、ヨーロッパウナギは徐々に盛り返しているというが、EU以外の国で、その国が認めれば輸出が可能になっている。そのため、日本でも食することができるのだ。

同様に、ニホンウナギも本気で捕獲や取引を制限しないと、本当にこのまま絶滅してしまう、というのが話の流れだ。

ちょっと視点を変える。ウナギを食べたい、というのはどういう人だろうか?ウナギが大好きで、もう年中食べていたいという人。もしくは土用の丑の日だから、世間並みにウナギを食べようよ、という人。いろいろいるはず。

ブログ主的には、後者の人がどっちかというと問題かな、と考える。好きで好きでたまらない人が、それなりの対価を払って食べる分には、文句の付けようがない。

世間並みに、とかそういう発想の人は、ウナギは安くたくさん食べたいと考えるし、ウナギが提供されなければおそらく食べることはない。しょせん、そこまでのものなのだ。だから、土用の丑の日にあやかって一大セールスを企てる業界構造に問題があるとも言える。

土用の丑の日に何となくウナギを食べなきゃという気持ちになり、それにあやかって薄利多売の攻勢を掛ける、というのが供給の逼迫を招いているような気がする。しかも、鰻屋のように注文を受けて調理するのではなく調理済みのものを売るから、売れ残れば処分される。

もちろん、彼らも商売だから、商機があれば付け込むのだろうが、そもそも無理と言うことになれば、そんなことも言っていられないだろう。牛肉だって、かつては滅多に食卓に上るものではなかったが、飼料や薬剤などの畜産技術が発達して、今では安価に口に入れられるようになってしまった。

ウナギもそういうことになれば、チェーン店で300円で鰻丼が食べれる、そんな時代になるんだろう。でも果たしてそれでいいのかな?

もともとは、暑い季節に売れなくなるうなぎを売ろうとして考えられた土用の丑の日。今では、逆なのだから皮肉なものだ。マグロも牛肉もそうだが、価値あるものに相応の対価を払って味わう、という自然な形になればいいなぁ、と思う。

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