本を読んでみた記「64(ロクヨン)」横山秀夫

昭和64年というと、わずか一週間ほどしかない、特殊な年。その年に起きた未解決少女誘拐殺人事件が、このお話のコアである。もちろん、タイトルの由来にもなっている。決して某家庭用ゲーム機とは関係ないので!

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脱線したが、こういう設定に弱いブログ主は、NHKで連続TVドラマ化されたということで全面的にキャンペーンされているのにまんまと乗っかり、文庫でも上下巻700ページという大作を、一気読みしてしまった。

何が面白いって、まず、警察小説という珍しいジャンル。警察機構特有の内部事情が赤裸々に描かれている。キャリア(上級職)対ノンキャリ(叩き上げ)、中央(東京)対地方(地元)、刑事(捜査)対警務(管理)。良いも悪いもこれが警察だ!というのがこれでもかと伝わってくる。

しかも基本はミステリーで、週刊文春の「このミス」1位にも選定されているぐらいなので、謎解き要素はバッチリ。次から次へと謎が吹き出してくる。すべての謎には伏線があり、それらがピシッと繋がっているのが最後にわかるという用意周到さ。このプロットをまとめるのは、さぞ苦労したかと。

組織人としての生き様まで描かれているのも見逃せない。ある地方警察署の広報官として刑事部から異動してきた主人公「三上」の、ときに古巣への未練を煽られたり、記者クラブとの対立が起きたりと順調ではないが、最後には広報官としての職務を全うし部下もしっかり育て上げるという気持ち良い部分もある。人は、大きなプレッシャーを乗り越えて成長するのだということが伝わってくる。組織の中より、外を見て仕事をしろという当たり前のことを教えられる。

それにしても、記者クラブとのやりとりはすごい迫力でそれはいいのだが、彼らの言い分に妙な違和感があるのはなぜか? 実に不思議な存在である、記者クラブ。

さらにさらに!夫婦とは何か? 親子とは何か? というところまで話は広がるのだから、正直、読むのがしんどくなるときもある。特に、序盤の重さはなかなかのものだが、あるポイントから一気に読書スピードが加速することは請け合いなので、ぜひ諦めずに読んでほしい。広がったお話がどんどん収斂していくのは、快感である。

もしあなたが、組織の中核にいて妻もおり、若い子供もいるなら、まちがいなく感情移入する。自分ならどうする? という自問自答の繰り返しになる。

良質な社会派ミステリーが欲しい、という愛好家にお勧めできる作品。

64(ロクヨン) 上 (文春文庫)

64(ロクヨン) 下 (文春文庫)

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