今回は異色だよ。Amazonでもグラフィックが出なかったから、スペックだけ表示しておくね。版元は光文社、ISBNコードは4-334-78045-8、408ページ、文庫版で~す。
この本の趣旨は、古いホラーマンガをピックアップして紹介し、解説を加えるというものなんだけど…。読んでみないとわからないよ、この感覚は。ピックアップしてみようか。
「心臓の妖怪」。心臓移植をテーマにしたマンガだが、絵柄が一部和田慎二風だ。心臓移植の権威と呼ばれる父親と、それが一番乗りでなかったことが不満な婦人と子供が主人公だ。心臓移植に、なんと事故にあった自分の娘の心臓を提供してしまう。だが完全に死んでなかった娘は、それが不服で移植された娘の体を借り残虐非道の振る舞いをする。移植された別の娘の胸に、その顔が出る。苦悩する父親。心臓を出し、別の心臓に変える決断をする父親。手術は成功。だが、最後に自分の娘の遺書から父親を成功させたい心を知る。文化勲章を受ける父親。娘の心臓に勲章をかける父。もう滅茶苦茶です。ホラーといいながら、ギャグが入ってます。
「足」。主人公は蛸の子供。時代は江戸時代と思われる。母親が浪人二人の漁でとられて食べられ、それを追って復習する子供蛸のお話し。母親は、刺身、照り焼きで食べられてしまう。それを見る子蛸は、いつか美しい娘に浪人には見える。復讐を試みる子蛸。だが浪人に斬りつけられ腕を切り落とされるが、それは蛸のこと、別の腕がある。最後は、二人の浪人が斬り合って全滅する。復讐を果たした子蛸。蛸の手と足に区別はあるのか、という深いテーマがある。
「怪談野郎」。作者は、加藤一彦、今で言うモンキーパンチである。モンキーパンチと言えば、ルパン三世である。タイトルにふさわしくない軽妙なサスペンスなのは、さすがモンキーパンチと言えようか。誰が殺されるのか殺すのかさっぱりわからない。いつ、誰が誰なのかもさっぱりわからない。次々と変装し、目的を果たす主人公。このノリは、さすがにモンキーパンチ。最初からそれをわかって読めば、納得できること受け合い。しかしこのタイトルは?
B級、いやC級のホラーマンガを探しておもしろおかしく取り上げようとしているのだろうけど、本当にC級だ。怖いと言うよりは、笑えるあたりに薄ら寒さがある。果たして目的は何なのか…。
だけどさ~、何で「みみず」なの?
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