W-ZERO3[es]を使い始める!―調査編

WILLCOMのW-ZERO3[es]を買ってしまった。俗に「スマートフォン」と呼ばれる、携帯電話とPC機能のハイブリッドマシンである。普通の携帯電話やPHSのように通話/通信機能を持ちながら、PCのようなOSを搭載し柔軟性のある使い勝手を提供する。この手の機械はかなり以前から出ていたが、初代W-ZERO3の登場によって、一気に普及が加速した感じだ。以前から、ノートPCと携帯電話の間を埋めるような機械が欲しいと思っていたが、W-ZERO3はこれにぴったりだったのである。ノートPCは機能は万全だが、その重さや大きさは気軽に持ち運べるものではない。電車の中で立ったまま使うにはマヌケすぎるし、その大きい画面が逆に恥ずかしかったりする。携帯電話は機能がまだまだ物足りなく、成り立ちが閉鎖的で融通も利かないし、それほどの拡張性もない。そこで、W-ZERO3である。そのW-ZERO3の中身や使い勝手を、自分なりにまとめてみた。

液晶保護シート『Crystal Shield for W-ZERO3[es]』3枚セット(透明度が高い光沢タイプ) OverLay Brilliant for W-ZERO3写真は液晶保護フィルムのものを利用。

W-ZERO3は、OSとしてWindows Mobile 5.0を搭載したSHARP製のPDAである。PDAとは、Personal Digital Assistantの略で、いわゆる携帯情報端末のことである。有名なものでは、同じくSHARPの「ザウルス」がある。Windows系のOSを搭載しているので、Windows搭載PCとの連携やデータ共有が期待できる。操作性も共通部分が多いので、新たに学ぶ部分は少なくできそうだ。しかもW-ZERO3の最大の意義は、PHSのキャリアであるWILLCOMが発売していると言うことで、通信機能、通話機能がシームレスに利用できる。従来のPDAが今ひとつ成功しなかったのは、通信機能が弱かったからではないだろうか?それを、W-ZERO3は解決している。ちなみにWILLCOM(ウィルコム)とは米国の事業者で、以前は「DDIポケット」と呼ばれていたキャリア事業者の事業を引き継いだあとは、PHSを用いた音声通話・通信サービスを提供・拡張している。

ちなみにW-ZERO3には3つのモデルがあって、WS003SHという型番の初代機、WS004SHという型番の現行機がある。この2機種は、下の写真のようにいかにもPDAといった感じで、私などは「筆箱」「弁当箱」と呼んでいる。ちなみにWS003SHとWS004SHの大きな差は、搭載するメモリのサイズだ。WS004SHは、WS003SHに対してメモリ量が倍になっている。現在販売されているのは、WS004SHである。

OverLay Brilliant for W-ZERO3 写真は液晶保護フィルムのものを利用。

これらに加えて、WS007SHという型番のW-ZERO3[es]が、去る7月に発売された。これは、見た目はほとんど折りたたみ式でない携帯電話と変わらない。PDAと言われてもそうは見えないあたりが、最大のセールスポイントになりそうだ。

液晶保護シート『Crystal Shield for W-ZERO3[es]』3枚セット(透明度が高い光沢タイプ) 写真は液晶保護フィルムのものを利用。

このように、W-ZERO3には、「[es]」(これは「エス」と読む)の付かないバージョンと付くバージョンが存在する。前者の方が、当然ながら歴史が古く、ユーザも多い。W-ZERO3が欲しい!と思った人は、[es]付きを買うか、そうでないか、迷うことになる。見た目にも相当違う。[es]の付かない方(面倒なので、現行機の型番「WS004SH」を使って「004」としてしまう)は、かなり大きく、伝統的なPDAの風貌である。これに対して[es]の付く方(同じく型番「WS007SH」を使って「007」としてしまう?いや[es]のまま行く。文字数は大して変わらんし)は、見た目には折りたたみ式でない携帯電話のような風貌である。004で電話をしている人を見ると、耳に大きな箱を当ててしゃべっているので、一瞬ぎょっとするというか、正直いえば不格好であるが、[es]では普通の携帯電話で会話しているのと大差ない。

まず、この見た目という点が、最初の分岐点になるのではないだろうか?もちろん、形状以外にも違う箇所はたくさんあるから、「これは絶対にとりたい!」「これはどうでもいい。」というポイントを並べて比較検討して、どちらかに決めればいいのではないだろうか?違いを大まかにいえば、こんな感じだ。

004 [es]
外見 筆箱 携帯電話
液晶 大きい(3.7インチ) 小さい(2.8インチ)
ダイヤルキー ない ある
無線LAN ある ない
メモリ 256MB 128MB
USBホスト機能 ない ある
カメラ 接写機能なし 接写機能あり(QRコード対応)
日本語入力 MS-IME ATOK
Webブラウザ IE Mobile Opera Mobile
メール Outlook Mobile W-ZERO3メール
英語辞書 あり なし
ACアダプタ 大きめ 薄い
価格(新規契約) 44,800円 29,800円

見てのとおり、外見上でなく、ハードウェア的、ソフトウェア的に見ても相当の差がある。これは、じっくりと選ぶ必要がありそうだ。[es]側から見て、何が違うか検討してみよう。

ハードウェア的に見て大きいのは、「ダイヤルキー」の存在、「無線LAN」の省略であろう。ダイヤルキーの存在は、W-ZERO3を携帯電話らしくしている。携帯電話の文字入力に慣れていれば、W-ZERO3でも同じ要領で文字入力が可能だ。無線LANは、アクセスポイントのあるオフィスや自宅、屋外のホットスポットでは便利だがいつも使えるとは限らないし、移動しながら使うことを想定していれば、必ずしも必要な機能ではないだろう。無線LAN機能は思ったより電力を消費するらしいので、微弱電波を使用するPHSを使う方が電池が長持ちするというメリットがある。メモリ容量が半分なのは痛いが、これは小型化の大小としてSDメモリあたりでカバーするしかないだろう。液晶が小さいのは形状からしようがないが、情報量は004と[es]と同じでVGA(640×480ピクセル)である。

ソフトウェア的に見て大きいのは、日本語入力が私もPCで使っている定評ある「ATOK」であること、WebブラウザとしてOpera for Mobileを搭載していること、メール機能にW-ZERO3メールという独自のものが追加されている点だろう。私は、このうち日本語入力がATOKである点を大いに買いたい。同じSHARPの携帯電話であるSH901iSを使っているが、この日本語入力は正直言わせてもらえれば、最低である。口語的な言い回しがうまく変換できないし、文節の切り直しもすごく面倒で、ものすごくイライラする。その点ATOKならば、以前使っていた三菱電機のD505iにも搭載されていたときにその使い勝手は実証済みだし、期待できる。WebブラウザのOperaはタブブラウザであるので、複数のWebページを同時に読み込んで、切り替えながら表示できる。

あとは、USBホスト機能を持つのが大きい。USBホスト機能を持つとは、たとえばUSB対応機器であるキーボードやマウス、プリンタなどの外部機器を接続できると言うことだ。これは、一般的なPCと同じ使い勝手である。ちなみに004にはUSBホスト機能はないので、単純にPCにつながるための機能のみを提供する。こんな機械にわざわざ外に何かつながないでしょ、という意見もあるだろうが、デジカメやプロジェクタ、ワンセグ対応チューナもつながると聞けば、そういうアドバンテージがある方が言うまでもない。

さて、最終的にはその大きさとダイヤルキー、ATOK、価格などが重視され、[es]と言うことになったのだが、それにて大きい液晶画面、無線LAN機能、大容量のメモリは失われた。逆を言えば失われたのはそれだけ?といった感じなので、[es]にして正解と思われる。で、さっそく申し込んでみたのだが、それは次回にする。

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