かなり古い作品です。これは文庫ですが、私はPF(プチフラワー)コミックスで持ってます。恥ずかしながら、吉田秋生さんは、男かと思っていました。だって、この作品の冒頭は、エロ本やらマスかきやら、とても女性の書いた作品とは思えなかったからです。しかも、ホモしたい、とか、俺P20cmとか、とても…。今読めばこっちが恥ずかしくなりますよ、吉田さん。
とは書きましたが、この作品は、かなり異色と思います。米軍基地の脇(おそらくは横田基地?)に住む姉弟の生活を書いたものですが、初期の物語は相当シビアです。後半は、かなりコミカルで笑えますが。父親が愛人を作り家族を捨て、母親はその後に死去し、残った姉弟の作る物語です。かなり深刻そうですが、全編を覆うのは、「エロ」のような気がします。思春期の男(男です、男女ではありません)が抱えるさまざまな性的な葛藤を、この物語は見事に描いています。だから、作者は男だと思いこんでいたのです。
この物語では、主人公のトシちゃん、深雪ちゃん、秋男くんという三人組がいろいろなどたばたを繰り広げるのだが、最初はトシちゃんと秋男くん(このふたりは幼なじみである)が物語の中心だが、その後トシちゃんの罠にはまった深雪ちゃんが(念のため、男である)物語の中心になってくる。秋男君が、何となく出すのに苦労しつつみえるのが、不憫でならない。私は、邪険にされるキャラクタには敏感なのだ。実生活の影響だろうか。
吉田秋生さんの作品は、思わず涙するもの、考えさせられる作品も多い。「夢の園」「十三夜荘奇談」「夢見る頃を過ぎても」など。今日、「夢の園」を読んで泣いてしまった。人の持つエネルギー、幼少時の生活の与える影響など、いろいろあるけれどパワフルな人の人生、だけどはかない人の人生、そういったものを感じさせる。「十三夜荘奇談」は、座敷童の話がいい。自分の幼少時の経験を子供に伝えられる父親は、いいよな、と思う。
あまり詳しくは書けませんけど、いい作品が多いです。ぜひ、読んで欲しいです。
コメント
この作品を文庫で偶然読んで、気にいり作品を全部読みました。
そうですか、文庫で…。実は、メジャーな作品と思われる「カリフォルニア物語」や「吉祥天女」は読んでいません。今度の休みに、ゴー!かな?