大方の予想どおり、29日の参議院選挙は自民党の大敗、民主党の躍進という結果に終わった。それはそれとして、それぞれの政党、候補者は受け止めるしかないと思うのだが、今回の選挙戦は自分としては気にくわないことがあった。それは、いつもより度を増しているように見えた誘導報道である。早いうちから、「自民は負けます、もしかしたら40議席を切るかも」とか、「今回は民主党が伸ばすでしょう、下手すれば60議席を取るかも」などといった論評が、新聞社などの自称「世論調査」で語られていた。それも、相当しつこい感じがしたのである。
人間、特に日本人などの気性では、負けるとわかっている政党には何となく票を入れたくない、できれば勝ち組に同調したいなどと流される傾向がかなり強く出てもおかしくないと思うのだ。だが反面、こんな予想ばかりだとダメだからきちんと自分の支持政党に入れよう、と思う人が出てきてもおかしくない。両者を並べてみれば、前者の方が浮動的だと思うし、数の上では多数になるような気がする。
もっとも、こんな印象操作は「小泉劇場」でも実践済みだし、役者が変わっただけのように見える。マスコミは自民が勝っては面白くないし、ネタの継続性も薄れる。どうせ負けるならこてんぱんに、となった方が報道としては面白くなる。煽るだけ煽った方が自分たちには得になるわけで、仮にそうならなくても困ることはない。
こんな話は空想的なものでもあるのでほどほどにしておきたいが、自民党が負けたことに疑問を持つ人は、私を含めて多数派ではないだろう。阿部政権は、国民の目から見た「ごまかし」を多くやりすぎた。問題のある閣僚をかばうのはいいが、「問題ないと思っている」と言った主観のみを主張するのでは支持を得にくい。客観的に同問題がないのか、そういったことをきちんと説明しないからもやもやしたものだけが残ることになってしまう。これは今の政権の一貫した傾向で、「忘れた」「知らなかった」などということで通ってしまう幼さに、もういい加減嫌気が差してきたことの表れだろう。
だが、問題はこれからだ。参議院で第一党となった民主党は、果たして何をしてくれるのか?どういった法案を提出し、どういった議論をしてくれるのか?これまでは野党の地位に甘んじて、与党の提出する法案にクレームを付け、議論ボイコット、運営妨害、そういったことをしていればよかった。だが今後は、少なくとも参議院においては立場が逆になるのだ。そのとき、有効な議会運営ができるのだろうか。今後は、自民党議員がボイコットしても文句は言えない。あれほど避難した強行採決を行うのか?それ以前に、具体性のある法案を提出し審議することができるのか?少なくとも私は見守りたい。
(私は自民党支持というわけでもありません。念のため)
コメント