日本のソフトウェア開発会社、ジャストシステムの会長・副会長である浮川夫妻が取締役を退任し、事実上ジャストシステムの経営から引くことがわかった。
ジャストシステムといえば、ワープロ「一太郎」でいちやく飛躍し、日本のソフトウェア開発会社の雄となった徳島の会社だ。同社の日本語入力ソフト、ATOKが「Awa TOKushima」の略だと言われているが、真偽のほどは定かではない。
私は、「一太郎」バージョン1のときから同社を知り、バージョン2の発売に先立って同社の浮川社長に会い、名刺交換をさせていただいた。もちろん、バージョン2対応の本をいち早く仕上げ、世の中に出すためだ。当時、アプリケーションの解説書というのはマイノリティで、そこにいち早く打って出ようと、直接本丸に乗り込んだわけだ。
本丸と言っても、徳島までは出向くことはできず、東京支社で会うことになったのだ。いかにも純朴そうな(こういっては失礼かも知れないが)浮川社長は、「一太郎」のネーミングの由来など、いろいろお話しして下さったのを覚えている。
今でも、私はジャストシステム製品を使い続けている。もちろん、日本の会社を応援したいというのもあるが、私の感性に合っているというのもあるのだろう。日本語入力はATOK、メールはShuriken。残念ながらワープロはWordだ。Wordは、勤務先などの互換性で、これを使わざるを得ない。私的に作る見本などは、一太郎などを活用している。
同社は、技術関係の指揮は奥さんの浮川専務(当時)が行っており、それに現在の社長である福良氏が開発部門を率いるという三人体制で長い間やってきた(福良氏は、私が某社を通じて「技術開示しろ」というのを固辞した人物である)。今年になって、キーエンスが第三者割り当て増資を引き受けて、経営に関わるようになってきた。今回、2名の取締役が退くことで、実質的に経営の実権はキーエンスに移る。
果たして、これから同社の舵取りはどうなるのか。私は、個人的に同社を応援したいし、ATOKなどどんどん使いやすくしていってほしいと思う。技術的なバックボーンがあれば、あとはいかにうまく商売するかである。どうか、従来の路線を活かしつつ、会社を建て直してほしいと思うばかりだ。
最後に、長い間お疲れさまでした、浮川夫妻。ことの顛末はどうであれ、私は夫妻に感謝している。今、ここで快適に文章を入力していられるのも、最初に「jxWord 太郎」があったからである。ここがすべての始まりであった。「Just Window」、「Super DTP 大地」など、パイオニアなるべく、チャレンジがあった。そのすべてを見てきた。
チャレンジを止めない限り、ついていきます、頑張ろう。
コメント
すべて理解したわけでは無いのですが
「熱さ」が伝わってきますね。
ルーツはどうあれ、優れた日本製品ならば応援するし、
それ以前に日本人として「made in Japan」を
応援したいと私も思います。
「地産地消?省?」というか。
7さん、
「熱さ」。
今求められているのは、これではないでしょうか?
作り手の熱が伝わってくるもの、そういったものが求められていると。
数字を満たすためだけに作ったもの、妥協の産物を、消費者は鋭く見抜きます。
かつて、夜も眠らずに、家庭崩壊寸前まで行って作った本は、5,000円近いにもかかわらず、何万部も売れました。
そのときの執念、熱意、根気を思い起こし、数字優先のモノ作りにさよならを告げたいと思います。
と行けばいいのですけど。
「熱さ」は時代を超越します。
時には廃れたように見えたとしても。
そんなモノ作り、自分も目指すところであります。
思い続けていればいつかは又…。
7さん、
「熱さ」は他人を突き動かします。
そんな熱に触れたときに、こっちも熱くなるのです。
これって、延焼というやつですね。