【編集者諸々】PDF校正で得られるもの(3)

書籍編集者のレーゾンデートルを示す久々の投稿、最後になりました。何のことやらわからない方は、最初までたどって読んで下さいませ…。

【編集者諸々】PDF校正で得られるもの(2)

総ページ数1,000オーバーの本の校正を、入稿見本を除いてすべてPDFで済ますことができたのですが…。

ここでは、1,000ページを越える本の校正によって生じるA3の500枚に及ぶプリンタ用紙を節約できています。500枚というとかなりの厚さですよ。ちなみに、コピー機用のPPC用紙の梱包は500枚単位ですから、あれが1回の校正で飛ぶことになりす。これが複数回です。

また、プリントに使うレーザプリンタ用のトナーも馬鹿になりませんし、定着器、ドラムなどの消耗も無視できません。これがすべてナシになりました。

当然、複数の著者さんに対するデリバリーコストもゼロですし、時間も節約できています。プリントに使う時間も。PDFに変換する時間が必要ですが、OS 9時代にQuarkExpress→PS→Adobe Acrobatとやっていたときに比べれば軽いものです。

プリントしたものが出ないということは、それを廃棄する必要もないのです。用の済んだ校正紙の処分というのは結構やっかいなのですが、これが発生しないと週末や月末や年末の掃除が楽になりますし、それをビルから出すお掃除のおばさんも楽になります。

ということで、コストや時間、手間などを改善してくれるのがPDF校正でした。そのあともチャレンジしていますが、あまり気乗りでなかった別のDTPオペレータも、やってみたら以外と楽で便利だったということで肯定派が増えています。

以前、これが難しかったのは、手軽なPDF編集ソフトウェアがなかったこともあるでしょう。Adobe Readerは有償ですし、無償のものは機能が貧弱で、校正に使うには不十分ということもありました。

今は、PDF X-Change Viewerなどのような優秀なフリーソフトウェアもありますので、それを著者さんにもお勧めして、共通の作業環境を作れたりしています。

広い画面の敷居が下がったというのもありますね。PDF画面とDTP画面を並べて、とかも可能です。

ですが、やっぱり紙の方がいいや、という著者さんも編集者もDTPオペレータもいます。それはそれでよいと思います。私も、無理強いはしません。この構図は、紙の本と電子書籍の構図に似ています。どちらかに一気に天秤が傾くということはないのです。

編集者の仕事というのは一定のサイクルがあってマンネリしがちなのですが、自分で見方ややり方を変えてみて、その中から新しい切り口でも見えてくればしめたものだと思っています。

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