通勤電車はストレスがいっぱい(19)―車両間移動の意味するものとは?

私の利用する東京メトロ半蔵門線では、表参道から青山一丁目に向かう途中で、こんなアナウンスが聞かれます。

次の青山一丁目駅では、前の方の車両に移動されるお客さまがいらっしゃいますが、遅延防止のためにお控え下さい。(要旨)

なぜ前の方に移動?なるほどそれは次の駅の構造にありました。

A0006_000229 写真:足成

青山一丁目の次は永田町です。この永田町駅半蔵門線ホームは、両端に階段がある構造です。ですから、乗り換えなどのために降車する乗客は、列車の端っこにいた方が都合がよいのです。

ではなぜ、「前の方」なのでしょうか?

半蔵門線の電車は、押上方面が1号車、渋谷方面が10号車です。前の方とは、1号車ということになります。1号車からの乗り換えをiPhoneアプリメトロタッチで見てみると、有楽町線と南北線の乗り換え口になっています。通常の出口としては、最高裁判所方面です。

反対側の10号車は、銀座線と丸ノ内線の乗り換え口、出口としてはホテルニューオータニ方面です。

こうして見ると、出口としての機能より、乗り換え口としての機能の方が大きいように感じます。

しかも、銀座線への乗り換えは、表参道、青山一丁目で可能ですし、丸ノ内線への乗り換えは銀座線からの乗り換えの方が便利です。

つまり、前の方、すなわち1号車の方にばかり移動するのは、有楽町線か南北線への乗り換え目的の人、と見て取れます。

しかし、これは今回の投稿の主題ではありません。ただの鉄道ネタです。笑

ひとりふたりがこのような行動をとるのは極めて合理的で納得できますが、多くの人、へたすればすべての人がそれを行えば破綻する、ということはよくあります。急ぎたいので車両を移動したら、運行に遅延が出て結果的に遅れてしまった、という話です。

これは、合成の誤謬、と言われます。

たとえば、ひとりひとりが節約生活をするのはよいことですが、全体でそれを行えば経済が縮小し、節約生活どころではなくなるかも知れません。節約生活というのは、実はものが豊かにないとできないものだからです。

冒頭のアナウンスにかかわらず、やっぱり移動する人はいます。でも、それでいいのではないでしょうか?アナウンスによって、移動を控える人が出てくるはずです。でも控えない人がいます。このバランスが、個人の欲求(急ぎたい)と運行の遅延の防止の上に成り立っていれば、よいだけの話です。

そういう意味では、「それって意味あるのかなぁ?」というアナウンスでも、実は十分に機能していると言えなくもないですね。今度からは、ちょっとしたアナウンスでも、どういった効果が出ているか?ということを想像しながら聞いてみようかな、と思います。

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