本を出すコスト。

本を出すコスト。紙代とか印刷代とか?そういったものはもちろんコストだけど、実はそれらのコストはさほど大きくもないし重要なものではないと思っている。デザインや紙面レイアウトに関するコスト?うん、だんだんと近づいてきた。デザインも紙面レイアウトも、アプリケーションの力を借りるけど、やっぱり人だよね。でもやっぱり大きくない。

本を出すコストで最大のもの、それは著者の執筆作業と編集者の編集作業だと思っている。どちらもアプリケーションの力を借りることはあるけど、本質的な部分では借りていない。ほとんどが人次第、というところだからだ。

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特に、著者の執筆コストって、実はたいへんなもんじゃないかと思う次第。著者からアウトプットされるものは、最終的には原稿と呼ばれるデータか紙だけれど、著者の頭の中にあるモノをそのように見える化するコストって、すごく高いと思う。

ここで書いているコストは、単純に金額換算できるものではなくて、手間やら時間やら執筆作業につぎ込まれているあらゆるものを指すと思ってほしい。

著者の考えや経験、知識、スキルなど、あらゆるものが原稿には盛り込まれている。ついつい、定量的に何章、何文字、何ページとやってしまいそうだが、そういった量的なものを越えた何かが原稿には詰まっている。

原稿を受け取る編集者は、そういったものを壊さず、変質させず、最終形に持っていかなければならない。もちろん本も商品である以上、品質や価値を高める試み、すなわち売れるようにする努力は必要だが、著者が原稿に込めたもの、それはしっかりつかんだ上で増幅し、本の魅力として発揮させねばならない。

そういってうまく噛み合った本は、売れる。著者と編集者の思いが一体になった成果物だ。残念ながら、そういった境地に達しない本もたくさんあるし、そうものでも出していかなければならないときがある。理想型には近づけたいが、力量、時間、費用、いろんな制約がそれを妨げることがある。

ちょっと忙しくなってくると、本来どうあるべきか?という根本を見失いがちだ。そういったときには、自分が著者の立場だったことを思い出す。どういう思いで原稿を書いていたのか、編集者に何を委ねたのか。そうすることで、少しでも原点に近づける、回帰できる、となればいいなと思っている。

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