汝、神になれ鬼になれ―諸星大二郎

脈絡もなく本を読んでいるなぁ、という感じだが、今回はまたコミックである。
集英社文庫コミック版、天才諸星大二郎の「汝、神になれ鬼になれ」である。

この本は自選の短編集で、同時に「彼方より」も刊行されている。
常ながら、情報が遅い感じで今回も店頭でたまたま見かけて購入した。
ブッ●オフなんぞにかまけていると、いい新刊が出ていても見過ごしがちだ。
これは反省が必要だ。

ちょっと逸れたが、諸星大二郎は、なんと小学生のときより好きな作家である。
氏の出世作が、少年ジャンプの手塚賞を受けた「生物都市」というのは有名な話である。
それ以来、何かとマークし、他人の購入した「西遊幼猿伝」を読みあさり、最近では文庫化されたものを買いあさっている日々である。

というわけで、この「汝、神になれ鬼になれ」だが、タイトルのとおり神や鬼に関わる短編を中心に収録したものである。中には、SFチックやブラックなものも含まれているが、氏の才能はやはり神話や伝説をモチーフに膨らませた作品にあると感じる。そういう意味では、「生命の木」、「海竜祭の夜」、「六福神」、「闇の客人」などが好みだ。何のことはなし、稗田礼二郎が出てくるものが好きなのかも知れない。

「生首」は、異様に肝の太い二人の女子高生が活躍するシリーズのトップ作品である。この作品が好きになれば、「栞と紙魚子」(朝日ソノラマ文庫)も好きになれるに違いない。異様な設定なのだが、この二人があまりにさらっと流すので、こんなのも日常なのかという非日常感に囚われる。

これは是非、「彼方より」も読んでみなければなるまい。残りの話はそれからだ。

コメント